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2020年戦力分析その3 ~東北楽天ゴールデンイーグルス~

 メジャーリーグの方は大変なことになっていますね・・・スポーツは一発勝負の世界なので過去の事実は変えられないですし、どうやっても負けた方の溜飲の下がる結果にはならないのではないかと危惧しています。人気チームのスキャンダルということで、野球ファンの失望度は計り知れないでしょうし今後の野球人気も心配です。本当に大丈夫でしょうか。まだまだ言いたいことはありますが、本題から逸れるのでこの辺でやめておきます。今回は、東北楽天ゴールデンイーグルスの戦力分析になります。どうぞご一読を。

 

1. 2019年シーズンの総括

 昨年の東北楽天ゴールデンイーグルスは、ロッテとのCS争いに競り勝ち3位に終わったというシーズンでした。前年度は最下位であり、一軍監督経験のない平石洋介監督のシーズン初年度だということを考えれば、及第点をあげられるシーズンだったのではないでしょうか。ただ交流戦明けに引き分けを挟んだ10連敗があり、それ以降立て直せなかったのは勿体なかったところではあります。では詳細を振り返っていきます。

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 先発陣はエースの則本投手が3月に右肘のクリーニング手術を受けたことで長期離脱することが確定し、また岸投手も開幕戦での左太もも裏違和感による離脱が長引いたことでシーズンの多くを二枚看板を欠いて戦わなければならないという不本意なシーズンでした。そんな緊急事態の先発陣の中で光ったのが、4年目の石橋良太投手の活躍です。前年度に"育成落ち"を経験した石橋投手は5月に先発に抜擢されると徐々に安定した投球を見せるようになり、最終的に美馬投手に次ぐチーム2位の127.1イニングを投げ抜きました。特に6月以降はQS率66.7%(10/15)と良い数字を残しており、今季も一定の活躍が期待できそうです。

 そして救援陣は近年では最高の150ホールドを記録するなど量・質ともに充実した布陣でした。その中でも特に森原投手の成長は今後の楽天にとっても大きいように思います。今季の成績から彼が抑えとして計算立ったことで、球団も松井裕樹投手の先発転向に確信を持って背中を押せたのではないでしょうか。

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 各球団との相性を見てみると、まず特筆すべきは今季の西武打線を他球団に比べて抑えていたということでしょうか。前年度は楽天戦を得意にしていた秋山選手や山川選手も打率3割以下に封じており、西武の打者を熟知していることが見て取れます。誰の影響かは知りませんが、このことは今季も大きな武器になるでしょう。一方で対ロッテ戦の先発防御率が悪いのは反省点ですが、これはロッテに移籍した美馬投手(8先発、防御率5.24)によるところも大きいので、今季へ向けてはそれほど気にしなくていいでしょう。それよりももっと反省すべきなのは対オリックス戦の対戦成績でしょうか。得点が失点を上回っているにも関わらず貯金を全く稼げていません。より上の順位に行くためには得意チームを作ることも重要になってきますし、今季は僅差の試合も勝ち抜く試合巧者になるための采配も重要になってきそうです。

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  次に打撃陣を振り返っていきますが、昨年は西武から浅村選手を獲得し、さらにペゲーロ選手に代わる右翼も守れる外国人選手としてブラッシュ選手を補強したことで攻撃力が格段に上がった打線が仕上がりました。二人の選手がシーズン30本塁打を記録したのは球団史上初めてであり、復活した茂木選手らと形成した上位打線の得点力はリーグでも随一のレベルにあるのではないでしょうか。その一方でブラッシュ選手が指名打者中心だったこともあり、右翼手が固定できないままシーズンが終わってしまったことは今季へ向けた課題点です。では、これまでの戦力分析と同様に昨年の打線の得点貢献のグラフを見ていきましょう(グラフの見方は下記記事参照)。

baseball-datajumble.hatenablog.com

 

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 ウィーラー選手の打順はシーズン終盤のスタメンをもとに七番としていますが、色々な打順を打っているのでこのグラフで示す打順にはあまり深い意味はありません。ここでは得点貢献(灰色の棒)がプラスの選手の数に注視して見てみます。すると、6人がプラスであり昨季の西武打線と同じくらい切れ目の無い打線であったことが分かります。ルーキーだった辰己選手も打率・打席数の割に得点が多く、それほどマイナスになっていないことも良いです。四球も選べていることから、今年ブレイクする資質を秘めていそうで楽しみですね。そうするとやはり一番の改善点は固定できなかった右翼手であり、昨年怪我で絶不調に終わった田中和基選手の復活が望まれるところです。

 

2. 2019-2020シーズンの選手の動き

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 昨オフの楽天は長年チームを支えてきた嶋基宏選手を構想外としたことを皮切りに、大幅な血の入れ替えに踏み切りました。一軍戦力ではFA宣言した美馬投手、自由契約となったハーマン投手がロッテへ移籍する形となった一方、楽天側はFAで前ロッテの鈴木大地内野手を獲得し、さらにこちらも前ロッテの涌井投手を金銭トレードで獲得しています。また、美馬投手、鈴木大地内野手のFA移籍に伴う人的補償として酒居知史選手をロッテから獲得し、小野郁選手をロッテへ放出しています。書いていて訳が分からなくなってきましたが、まとめるとロッテとの間で美馬・ハーマン・小野郁⇔鈴木大地・涌井・酒居の3対3のトレードが成立したような選手の動きになっています。さらにはメジャーリーグに挑戦していた牧田和久投手と前ドジャースのJ.T.シャギワ投手を獲得しており、松井裕樹投手が先発に転向しハーマン投手が抜けるぶん手薄になるリリーフ陣の強化も行っています(2020/1/21追記)。さらにさらに、オリックスを自由契約になっていたステフェン・ロメロ選手の獲得も発表しました。野手陣の激しいスタメン争いが繰り広げられそうです(2020/1/27追記)。

 またドラフトでは即戦力と目されるドラフト1位・小深田大翔内野手のほか3人の大卒・社会人投手を獲得しており、一年目からの活躍が期待されるところです。

 そして大事なのはやはり、平石前監督に代わり三木肇監督が就任したことでしょう。2016年、2017年にヤクルトのヘッドコーチを経験した実績はあるものの実際の実力は明らかになっておらず謎に包まれていますが、石井GM、真中前ヤクルト監督らが太鼓判を押すその手腕に注目です。

 

3. 2020年の戦力分析・オーダー予想

 最後に今シーズンの主な投手陣・野手陣のメンバーを見ていきます。

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 これまでと同じようにlastIN、lastGは昨年のポストシーズンを含めた投球回数、登板数を示しています。今季の先発陣の中心となっていかなければならないのは、再起をかける則本投手と先発復帰となる松井裕樹投手でしょう。松井投手は球数が多いタイプなので最初はペース配分に苦労するかもしれませんが、場数を踏んでいけばかなりの投手になると思うので、何とか長いイニングを投げてほしいですね。この左右の両エースと先述の石橋投手が規定投球回をクリアする目処が立てば、自然とリーグ優勝が現実味を帯びてくるのではないでしょうか。残りの枠を岸投手、塩見投手、そして新加入の涌井投手らが争うという感じでしょうが、その中でも一番期待されているのは昨年不振に終わった高卒4年目の藤平尚真投手でしょう。彼の成長が今後の楽天の浮沈の鍵を握っているといっても過言ではありません。

 救援陣は松井投手が抜けたことで役割が一つづつ繰り上がり、宋家豪-ブセニッツ-森原という勝利の方程式を組むことが予想されます。新加入の牧田選手は西武時代後期と同様に早い回から登板してイニングを繋ぐ役目を期待されそうです。安樂選手など今季にかける思いの強い選手もいますし、昨年と同様に分厚い布陣となりそうです。

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 予想オーダーは3パターンに分けて考えてみました。まずパターンAは昨年の打順をもとに右翼手をブラッシュ選手に任せ、空いた六番・指名打者に新加入の鈴木大地選手が入るというオーダーです。これにより七番まで切れ目のない打線が可能になり、今季は西武打線にも勝るとも劣らない破壊力を発揮することが予想されます。次にパターンBは田中選手が2018年の成績を取り戻し、中堅のレギュラーを辰己選手から奪った場合のオーダーです。この場合は足のある田中選手にリードオフマンとして活躍してほしいですね。またパターンCはブラッシュ選手が指名打者に座るパターンになります。昨年の起用を見るにこの打線が一番現実的かもしれません。この場合はおそらく中堅に辰己選手、右翼に田中選手(またはその逆?)という布陣となり、一塁手を銀次選手と鈴木大地選手で争ってもらうという形になります。個人的にはパンチ力のある鈴木大地選手の方がスタメン向き、巧打者の銀次選手の方が代打適正があると思っているのですが、皆さんはどうでしょうか。

 今季の優勝に向けては田中選手の復活と辰己選手の成長が鍵になってくると思うのですが、オコエ選手ら昨年は控え中心に終わった選手たちも諦めてはいけません。島内選手などの壁は高いですが必ずアピールするチャンスは巡ってくると思うので、腐らずに頑張ってほしいです。

 ここまで割と万全に見えますが、数少ない懸念材料は嶋選手の後を継ぐ正捕手でしょうか。最も経験のある足立選手でも通算で362打席しか立っておらず、シーズンを通して計算できる捕手がいません。現状では高卒5年目の堀内選手と大卒2年目となる太田選手の成長に期待するしかない状況です。ただ幸い打線では他の人が打ってくれると思うので、今季は打撃面より守備面の経験値の上積みに集中してほしいですね。涌井投手や岸投手は彼ら若い捕手陣を引っ張る役目にも期待したいです。

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 ロメロ選手を獲得したため、予想打線を追記しておきます。ブラッシュ選手、ウィーラー選手、ロメロ選手の3選手を使ったオーダーがパターンA、ロメロ選手が抜けたパターンがパターンB、ウィーラー選手が抜けたパターンがパターンCとなっています。ロメロ選手は怪我がちではありますが昨年の成績はなかなか良かったので、日本一へ向けた強力なピースがまた一つ埋まったと見ていいでしょう(2020/1/27追記)。

 

4. 終わりに

 以上、今季の東北楽天ゴールデンイーグルスの戦力分析でした。未だベールに包まれている三木肇監督のキャラクターにも今年は注目です。おそらく今年以上の順位=優勝を目指しての監督抜擢だと思うので、かかる重圧も凄そうですが、そこは若い力で乗り切ってほしいですね。

 書いていたらMLBのことなんて忘れてしまいました。次回は昨年4位に終わった千葉ロッテマリーンズの記事になります。それではまた。

 

5. 参考サイト

NPB.jp 日本野球機構

プロ野球 - スポーツナビ

データで楽しむプロ野球

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2019年度版

FanGraphs Baseball | Baseball Statistics and Analysis

Baseball-Reference.com