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2020年戦力分析その4 ~千葉ロッテマリーンズ~

 春季キャンプの一軍入りの情報も続々と入ってきていますね。まだ寒いですが、あと10日ほどで球春到来です。早いですね。今年は五輪の影響でオープン戦もシーズン開幕も前倒しということで例年になく長丁場のシーズンになるので、選手たちには大きな怪我がないようにしっかり準備してほしいですね。今回は戦力分析の第4回目で、千葉ロッテマリーンズの記事になります。お暇な方はどうぞご一読を。

 

1. 2019年シーズンの総括

 昨年の千葉ロッテマリーンズは楽天とのCS争いに破れ、惜しくも4位に終わりました。井口監督の二季目ということで借金まみれだった前年度からは着実にステップアップしていったという感じですが、得点が西武に次ぐリーグ2位(642得点)で、得失点差が楽天とほぼ変わらなかったことを考えるといまいち波に乗り切れなかったシーズンだったという印象です。では今季へ向けて、どのような反省点・改善点があるか振り返っていきましょう。

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 昨年のシーズンで大きく変わったことと言えば、近年の深刻な本塁打数不足を受けて本拠地ZOZOマリンスタジアムに増設された「ホームランラグーン」の存在でしょう。いわゆる打者有利の"ラッキーゾーン"の導入により投手陣の被本塁打増加を懸念する声もありましたが、結果を振り返れば被本塁打数の増加(2018年:129本⇒2019年:143本)が気にならないほど打撃陣の本塁打数が増加(2018年:78本⇒2019年:158本)し、ラグーンの設置は大成功と言える結果となりました。投手陣全体としても防御率は良化し、十分に合格点をあげられるシーズンだったのではないでしょうか。特に種市投手ら若手先発投手の台頭は大きく、近年無かった明るい材料です。ただここ数年イニングイーターとしてチームを支えてきた涌井投手の衰えもあり、他球団の例に漏れず先発陣がイニングを稼げておらず、規定投球回に達した投手がいなかったのは反省点です。リーグ最多の10敗を喫した二木投手が大事な8・9月に絶不調となり、二軍行きとなったのが痛かったですね。

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 そして昨年のマリーンズを振り返る上で最も大事な点が、上記の極端な他球団との相性でしょう。まず他球団が苦戦していたソフトバンク戦を大得意にしていたのが印象的ですね。ソフトバンクに対しては一試合あたりの得点とQS率がリーグ最高でありシーズンを通して有利な試合運びができていました。また日本ハム打線にも得点を許していなかったのは良い点です。その一方で、西武とオリックスには逆に貯金を稼がれており、得意チームから奪った貯金をフイにしています。西武戦では森友哉選手(対戦打率.378)を始めとして多くの打者に打たれていることから対策すべきところは明白なのですが、厄介なのがオリックス戦です。オリックスには苦手な打者はそれほど居ないのですが、一点差のゲームで実に8敗を喫しており、僅差の試合をものにできませんでした。このうち6試合で中継ぎ陣に負けがついており、今季は接戦の展開でも抑え抜く精神的な強さも重要になってきそうです。

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  次に野手陣は前述の通り本塁打が大幅に増加しました。レアード選手の加入はもちろん、井上選手が二年連続で成績を残したのが大きかったですね。158本塁打は千葉マリンスタジアムを本拠地としてからは最高の本塁打数で、ようやく長距離砲を育成できる環境が整ったと言っていいでしょう。

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 その一方で、昨年は初めて規定打席に達した荻野選手と鈴木大地選手という出塁率の高い選手を一二番に置く試合が多かった中で、クリーンナップの決定力という点では上位球団に比べると劣っていたのも事実です。上の得点貢献(灰色の棒)のグラフを見てみると、中村奨吾選手、井上選手が微マイナス、レアード選手でも微プラスに留まっており、試合数にしては打点が不足していたことが分かります。レアード選手はともかくとして、中村奨吾選手と井上選手は前年度に比べて成績を落としてしまったので、今季より上位を目指すためにはこの二人の成績アップが欠かせません。

 

2.2019-2020シーズンの選手の動き

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 昨オフのロッテ最大のニュースは、何と言っても高校生最速の163km/hを投げた注目のルーキー・佐々木朗希投手の獲得でしょう。ロッテがこのような本格派投手を獲得するのは久しぶりなので、目標である沢村賞を何度も取れるような投手になるよう大きく育ててほしいですね。ドラフトでは他にも、正捕手候補の佐藤都志也捕手、高部瑛斗外野手などの即戦力大学生を指名しており、一年目からの出場に期待です。

 また前回の記事でも述べたように楽天との間で大規模の選手の移動があり、鈴木大地選手、涌井投手、酒居投手を放出した一方で美馬投手、ハーマン投手、小野郁投手そして楽天を自由契約になっていた西巻賢二選手を獲得しています。長年レギュラーを張ってきた鈴木大地選手の移籍は正直痛いですが、同一リーグの二球団間でここまで選手が動いたのは近年では無かったことなので、今季の順位にどう影響を与えるのか楽しみですね。

 FAでは美馬投手のほかソフトバンクから福田秀平選手を獲得しており、昨季固定できなかった右翼手のレギュラーを争うことが予想されます。福田秀平選手は規定打席に立った経験は無いものの、ここ二年の本塁打率は目を見張るものがあるので是非怪我せずに一年間一軍に居てほしいですね。

 外国人選手では昨年不振に終わったボルシンガー投手が退団した一方で、前述のハーマン投手と2018年まで広島でセットアッパーとして活躍していたジェイ・ジャクソン投手を補強しました。彼らがチェン・グァンユウ投手と繰り広げる激しい外国人枠争いにも注目です。

 

3. 2020年の戦力分析・オーダー予想

 最後に今シーズンの投手陣と野手陣の陣容を見ていきましょう。

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  先発陣はここ数年規定投球回に達していない石川歩投手の復活が望まれるところです。メジャー挑戦の意思も口にしましたし、エースとして投手陣を引っ張る活躍を期待したいです。楽天へ移籍となった涌井投手の穴は美馬投手が埋めてくれるでしょうか。また昨年終盤に先発に復帰し、かなりの内容を見せた西野投手もローテ投手として計算できます。若手投手ではやはり昨年驚異の奪三振率を残した種市投手の飛躍に注目です。昨年終盤の内容を見ると、石川投手の状態次第では一気にエース級の投手に駆け上がる可能性もあります。他には小島投手、土肥投手の両左腕の出番も増えてくるでしょう。この二人が先発した試合をどれだけ拾えるかというところも重要になってきそうです。心配なのは先述の二木投手の状態でしょうか。彼が規定投球回に立つ目処が立てば優勝もぐんと近づいてくると思うので、復調してほしいですね。

 救援陣は枚数は揃っていると思うので、あとは接戦の場面でどれだけ踏ん張れるかというところでしょうか。そういう意味では、広島の3連覇に貢献したジャクソン投手の加入は凄く大きいように思います。彼がセットアッパーとしてどれだけ仕事を果たせるかが優勝へ向けたキーポイントとなりそうです。

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 次に野手陣ですが、まずは鈴木大地選手の穴を埋める選手が重要になってきます。球団としては鈴木大地選手の代わりとなる選手の補強はしていないため、内部戦力の成長が欠かせないシーズンとなります。その中で最も期待されているのが、今季3年目となる1999年世代の安田尚憲選手でしょう。井口監督も勝負の3年目と言及しているように、積極的に起用していくことが予想されます。安田選手を組み込んだオーダーを考えると、パターンAのようなオーダーがシーズン当初は基本になっていくのではないでしょうか。同世代であるヤクルト・村上選手の昨シーズンのように、この打順から徐々に信頼を掴み取っていく活躍に期待したいですね。

 パターンAでは右翼手をマーティン選手、清田選手、福田秀平選手の三人が争う形になっていますが、安田選手が十分な結果を残せなかった場合には、パターンBのようなこれら三人のうち二人を組み込んだオーダーも考えられます。この場合は守備であまり負担をかけたくない角中選手を指名打者にすることも可能です(2020/2/16修正)。清田選手、マーティン選手は打点も多く、試合を決める力を持っていることから激しいレギュラー争いを今季も期待したいです。

 また救援陣に3人の外国人投手の力が必要となった場合には、マーティン選手が居ないパターンCのようなオーダーも考えなければいけません。この場合は上位打線の長打力不足を補うため、井上選手、レアード選手を三四番とするような大胆なオーダーもいいのではないかと個人的には思います。

 いずれのオーダーでも実績のある左打者が不足気味なので、どのオーダーでも重い打順で起用している角中選手の成績が重要になります。彼が最低でも成績を維持できなければ、上位浮上は無いと言ってもいいでしょう。ここ3年は成績が低迷してしまっていますが、老け込むにはまだ早いですしリーディングヒッターとしての意地を見せてほしいですね。

 

4. 終わりに

 以上、今季の千葉ロッテマリーンズの戦力分析でした。井口監督としても勝負の3年目のシーズンなので、是非優勝に向けて勝ちに拘る野球を展開してほしいですね。

 次回は北海道日本ハムファイターズの記事になります。ショートスターターについてのデータもまとめてみたので、お楽しみに。それでは、また次回。

 

5. 参考サイト

NPB.jp 日本野球機構

プロ野球 - スポーツナビ

データで楽しむプロ野球

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2019年度版

FanGraphs Baseball | Baseball Statistics and Analysis