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2020年戦力分析その7 ~読売ジャイアンツ~

 キャンプ初日から柵越え◯本!というニュースが各球団とも入ってきていますね。この文面を見ると球春到来したなという感じです。客入りも初日から盛況のようですし、今年もプロ野球界が盛り上がりそうで楽しみですね。さて、この戦力分析の記事もオープン戦開幕までに終えないといけないので、ここから少しペースアップしようと思います。今回は、昨年5年ぶりにセ・リーグを制覇した読売ジャイアンツの記事になります。どうぞご一読を。

 

1. 2019年シーズンの総括

  昨年の読売ジャイアンツは3連覇したカープから丸選手を獲得し、前評判通りの強さを見せつけリーグ優勝に輝きました。ただ9月にやや失速し、日本シリーズもソフトバンクに4連敗を喫してしまったことを考えると、後味の悪いシーズンだったかもしれません。では、今年の"日本一"へ向けてどのような反省点があるか振り返っていきましょう。

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 まず先発陣は規定投球回は山口俊投手だけだったものの、防御率はリーグ2位とよく頑張ったと言えるシーズンでした。ルーキーの髙橋優貴投手はもちろん、桜井投手、今村投手という若手投手がキャリアハイと言える成績を残した今季へ向けた布石となるシーズンで、原監督復帰一年目としては上々の出来だったのではないでしょうか。ただ桜井投手、今村投手は短期決戦の先発を任せるに足る信頼はまだ得られていないので、今季は短期決戦での采配の選択肢を増やす意味でもこの両投手のより一層の奮起に期待したいですね。

 一方で救援陣は防御率リーグ4位という数字以上に反省点が多かったように思います。これはある意味良い部分でもあるかもしれませんが、主要な救援投手の登板数が少なすぎます。30登板以上、10ホールド以上の投手の数はリーグ最少で、悪い言い方をすれば勝つためのセオリーが終始確立されていなかったような成績になっています。デラロサ投手を獲得してからは少し改善傾向にはあったものの、もっと僅差の展開を任せられる投手の駒がほしいところです。田口投手も先発に戻りたいようですし、今季は新たな中継ぎ投手の台頭が欠かせません。

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 他球団との相性を見ると、広島相手に負け越した以外は上出来という感じでしょうか。得失点差を見ても全球団からプラスと悪いところは無いように思えます。しかし油断は禁物です。特にソト選手に13本塁打、31打点を許したDeNA打線は筒香選手が抜けるとはいえ、今年も健在です。対戦成績が逆転していたら昨年の優勝も怪しかっただけに、早めに手を打っておきたいところです。また10本塁打、27打点を喫したバレンティン選手は抜けましたが、青木選手と山田選手によく打たれているヤクルト打線も要注意です。負け越してしまった広島打線では、鈴木誠也選手(対戦打率.402)、西川龍馬選手(同.404)を苦手にしています。今年は重要な場面で彼らを迎えないようにする采配も重要になってきそうです。

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 次は打線を見ていきます。昨年は二番・坂本、三番・丸、四番・岡本というオーダーが約八割を占めており、第三次原政権を象徴する打順になりました。この3人が揃って全試合出場を果たしており、優勝の原動力であったことが分かります。また、亀井選手がこの歳になってから初めての二年連続規定到達を達成し、一番にも定着してシーズンを通して計算できる戦力になったのも大きかったですね。一方で、五番打者以降で打点を伸ばした選手がおらず、やり繰りに苦しんでいたのが印象的です。特に日本シリーズでは引退してしまった阿部選手頼りに見えましたし、今年の日本一のためには下位打線も厚くするような選手起用が必要になってきます。

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 前記事を読んでいない方向けに説明しておくと、このグラフは青色の棒が昨シーズンの一試合あたりの自分の本塁打を除いたホームイン数、橙色の棒が一試合あたりの打点数を示しており、灰色の棒が投手の失点に対する自身の得点関与数を示しています(詳細は下記記事参照)。

baseball-datajumble.hatenablog.com

 つまり灰色の棒がプラスであればあるほど投手の失点を帳消しにするような打撃面の得点貢献ができたというグラフになっており、ポジションごとの弱点が見えるようになっています。これを見ると、坂本選手、丸選手、岡本選手次第のチームであることが分かりますね。この3選手の調子がもう少し早く良くなっていたら、日本シリーズも違う結果になっていたかもしれません。そして今季へ向けて改善したいのが五番から八番までのマイナスとなっているポジションです。特に岡本選手が三塁に専念となりそうなので、ガラ空きになる一塁をどう埋めるかが大事になってきます。今季へ向けて、オフの巨人はどういう補強をしたのでしょうか。

 

2. 2019-2020シーズンの選手の動き・新戦力分析

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 昨年は優勝したこともあってか多くの選手が退団しています。まず長らく巨人を支えた阿部慎之助選手とマシソン選手が引退し、山口俊投手は球団では初となるポスティングシステムを利用したMLB移籍を明言、昨年末にトロント・ブルージェイズへの入団が決まりました。さらに左翼手のゲレーロ選手、三塁手のビヤヌエバ選手を自由契約としており、大幅な外国人の編成組み換えを行ったシーズンオフになっています。

 これを受けて、新外国人としては米1312安打のヘラルド・パーラ外野手を始め、チアゴ・ビエイラ投手、エンジェル・サンチェス投手の3選手を新たに獲得しています。パーラ選手とサンチェス投手については成績をまとめてみたので、見てみましょう。

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 まずパーラ選手ですが、こちらは2011年に左翼手、2013年に右翼手としてゴールドグラブ受賞経験のある守備の名手です。中堅手としても1500イニング以上に出場していますが、丸選手が居るのでおそらく両翼での起用がメインになるでしょう。また、一塁も守れるので外野で使いたい若手選手が出てきたときには一塁手として使うオーダーも可能です。打撃面では直近では2017年に規定未達ながら打率三割、OPS.800近くをマークしており、ハマれば上位打線で期待できそうです。しかし選球眼は良いとは言えず、不調に陥ると打率が落ちやすいタイプなので、その時は待ってあげる辛抱強い采配も必要になってきそうです。

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 次にサンチェス投手はKBO・SKワイバーンズからのNPB入りになります。SKには2018年から所属していましたが、昨年成績を大幅に上げてリーグ2位の17勝をマークしています。2015年シーズン後にトミー・ジョン手術を受けたそうなので、昨年は新しい肘での本領発揮のシーズンといったところでしょう。ゴロボールピッチャーで奪三振率も良いことからあらゆる方法で打者を処理できそうですし、味方の守備がしっかりしていればある程度長いイニングも計算できそうです。山口俊投手の穴は大きいですが、それを埋める活躍を期待したくなる成績ですね。

 なお、ビエイラ投手はブラジル出身の最速167km/hという触れ込みの右投手です。こちらはメジャーでは与四球率の影響か良い結果は残せなかったものの、環境が変わったので数少ない外国人枠を掴む活躍に期待したいですね。

 また、ドラフトでは堀田賢慎投手など高校生を中心に指名しています。二軍の首脳陣は阿部慎之助監督を始め、近年の名選手がズラリと並ぶこれ以上ない環境なので、錚々たる顔ぶれに萎縮だけはしないよう伸び伸びと頑張ってほしいですね。

 

3. 2020年の戦力分析・オーダー予想

 それでは最後に今年の投手陣・野手陣の陣容を見ていきましょう。

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  ここで上記のlastIN、lastGとは昨年のポストシーズンを含めたイニング数、登板数をそれぞれ表しています。先発投手では、菅野投手、メルセデス投手は規定投球回以上を期待されていそうです。菅野投手は昨年は個人的には苦しいシーズンだったでしょうから、今季に懸ける思いは相当強いはずです。東京五輪も選ばれそうで大変だとは思いますが、もう一度最優秀防御率を取るような活躍に期待したいですね。あとは新加入のサンチェス投手と先発に復帰する田口投手が規定投球回程度を投げてくれれば、山口投手の穴は埋まるでしょう。田口投手も昨年試合数を投げた割にオフが短かったので心配ですが、是非先発として復活してほしいです。残りの枠では髙橋優貴投手、桜井投手、今村投手らが成長を見せてくれるはずなので、今季は先発で困るということはあまり無いような気がしています。

 心配なのは救援陣でしょうか。8・9回は中川‐デラロサの方程式で良さそうですが、前述のようにその前を繋ぐ投手の枚数が足りていません。特に先発が早い回で降りた時に投げる投手が不足している気がします。大竹投手も良いですが、球団の将来も考えると田原投手や戸根投手などより若い投手に再び出てきてほしいところでしょう。また、セットアッパーの中川投手は昨年プレミア12にも出場しましたし登板過多も懸念されるので、その負担を和らげられるような新たな選手の台頭にも期待したいです。

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 打線はこれまでのように3パターン考えてあります。まずパターンAは昨年の打線をもとに一番に右翼手としてパーラ選手、五番に左翼手として亀井選手を起用するオーダーです。パーラ選手がある程度ヒットを打てる時は、このオーダーが最も機能するのではないでしょうか。この場合は一塁は大城選手や中島選手で争うことになりそうですが、現状では長打力はそこまで期待できないので、六番以降の決定力不足というところが問題になりそうです。

 大城選手の打撃力と一塁手の攻撃力をどちらも活かしたいなら、パターンBのように亀井選手を一塁手、大城選手を捕手にするオーダーが良さそうです。パーラ選手にある程度長打も期待できる場合は出塁率の高い坂本、丸を一二番とするオーダーも考えられます。そして、この場合の右翼手は陽岱鋼選手しか適任者が居ないでしょう。陽選手は巨人に移籍して二年目までは怪我で奮わず、昨年も丸選手の加入などでポジションを奪われ一軍にほぼフルシーズン帯同しながらまともにスタメンに名を連ねることができないままシーズンが終わってしまいました。代打で一定の成果を残したとはいえ、もともとスタートから出て輝く選手なので、首脳陣も信頼して使ってあげてほしいですね。キーマンである彼が復活すれば、連覇はそう難しくないでしょう。

 陽選手が万全なら、パターンCのようなオーダーも組めます。このオーダーでは岡本選手を一塁にしてみましたが、これを見ると試合後半の守備固め時の得点力低下が懸念されます。これは二塁や三塁を守れる控え選手が打力が足りていないのが原因ですが、長年空きポジションとなっている二塁を守れる選手を昨オフに補強しなかったのは球団としての何らかの意思表示だと思うので、どうにか殻を破る選手が出てきてほしいですね。

 

4. 終わりに

 以上、今年の読売ジャイアンツの戦力分析でした。原監督も今季はある程度打者の育成もしながら勝っていく難しい采配が求められます。東京五輪もありますし二連覇は簡単ではないですが、今季こそ日本一を目指して頑張ってほしいですね。

 次回はセ・リーグ2位となった横浜DeNAベイスターズの記事になります。それではまた。

 

5. 参考サイト

NPB.jp 日本野球機構

プロ野球 - スポーツナビ

データで楽しむプロ野球

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2019年度版

FanGraphs Baseball | Baseball Statistics and Analysis

STATIZ(KBOのデータサイト)