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【2021年版】千葉ロッテマリーンズ戦力分析

 先日の練習試合での阪神・佐藤輝明選手の特大ホームランは凄かったですね!前評判通りの長打力に加え、バットコントロールの高さも見せており、早くも大器の片鱗を覗かせています。他にも注目のルーキーは多いですし、レベルの高い新人王争いが見られそうな今シーズンが早くも楽しみです。

 今回は2021年の12球団戦力分析の第二回で、昨年パ・リーグ2位に終わった千葉ロッテマリーンズの戦力分析になります。どうぞご一読を。

 

1. 2020年の総括

シーズン成績

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 昨年のロッテは実に13年ぶりとなる2位でシーズンを終え、井口監督3年目にして初めてAクラスに入るという上々のシーズンでした。しかし、9月末には一厘差まで首位ソフトバンクに迫っており、中盤から優勝を見据えプロスペクトの香月一也選手を放出しながら澤村拓一投手を補強し、更にメジャー帰りのチェン・ウェイン投手も獲得したことを考えると、消化不良の側面も多かった一年でした。どうしようもないことですが、やはり新型コロナウイルス感染による選手の離脱が痛かったですね。

投手成績

2020年ロッテ先発

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 先発投手では、開幕投手の石川歩投手とFA移籍初年度の美馬学投手が規定投球回に到達し、チームを引っ張ってくれました。エース格として計算していた種市篤暉投手が怪我で離脱してしまったので、先発として経験豊富な二人がしっかりしていたのは頼もしかったですね。また、2年目の小島和哉投手はシーズン通してローテを守り、イニング100回を超えてQS率50%と着実に成績を伸ばしてきました。8月以降だけでキャリアハイの9勝を挙げ、QS率も70%弱と高水準に安定していた二木康太投手の復調もプラス要素です。一方、チームの大事な時期に離脱を余儀なくされた岩下大輝投手はやや悔いが残るシーズンになってしまいました。同世代の中村稔弥投手らローテの枠を争うライバルは多いので、この経験を糧にして成長していってほしいです

2020年ロッテ救援

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 勝ちパターンは、初めて二年連続20セーブ以上を挙げた益田直也投手と楽天から移籍したハーマン投手に、シーズン途中から中継ぎに専念した唐川侑己投手と先述の澤村拓一投手が加わり非常に安定していました

 吉井コーチの徹底的な管理のもと、先発投手にはできるだけ長いイニングを投げさせ、救援投手では鈴木大地選手の人的補償として獲得した小野郁投手や東條大樹投手も適度に登板させて全体の負担を分散させていたのも結果として功を奏したように思います。異例の短縮日程において危惧される投手陣の疲労を最小限に抑えていたのは、更に上位を目指す今後のシーズンにも生きてくるでしょう

打撃成績

2020年ロッテ打線

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 打撃陣では、マーティン選手が前年後半から順当に成績を伸ばし、得点関与数(打点+得点-本塁打)、出塁率、長打率でチームトップの数字をマークしました。守備と走塁に加え性格も良いですし、チームのMVPと言って良い貢献度でした。また、離脱者が次々に出る中、一定の成績を維持しながらシーズンを完走した中村奨吾選手と井上晴哉選手も良く頑張ってくれました。そして7割以上の試合で四番に置かれ、その全てで三塁を守った年目の安田尚憲選手は、将来の主軸打者に向け貴重な経験を積みました。終盤に大器の片鱗を見せた藤原恭大選手らとともに、切磋琢磨してレベルアップしていってほしいですね。あとは30代の野手陣に衰えが見える中、27歳の菅野剛士選手が成績を上げたのも良かったです。

 しかし、ルーキーから遊撃手を任されている藤岡裕大選手の打撃成績もなかなか上がってきませんし、全体としては外国人選手頼りで迫力のある打線が組めているとは言えません特にリーグ最下位だった長打率の改善が最重要課題になっています。

 

2. 打順分析と相性分析

 この節では毎回、少し変わった視点から見た2つのデータを見ていきます。

打順分析

 一つ目は打順分析です。出塁率(OBP)長打率(SLG)に加え、選手の得点貢献度を示すHPRP( 得点関与数[得点 + 打点 - 本塁打]/打席)を各打順ごとの平均と比較することで、リーグの平均的な打線と比べて、代打も含めて各打順にどのようなタイプの打者が置かれ、どのような仕事をしていたかを見ていきます(HPRPを使った経緯は前の記事参照)。なお、このデータは簡単にパークファクターも反映したものになっています。

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 打順下の選手名はその打順にスタメンで置かれた上位2選手(8割以上スタメンで出ている場合はその1選手のみ表示)になっています。OBPgap青棒)、SLGgap橙棒)、HPRPgap灰棒)は各打順における各指標のリーグ平均との差を示しています。

 グラフを見ると、中軸打者の長打力、得点力不足が目立ちます。安田選手を意図的に固定していた四番は仕方ないとしても、三番や六番という重要な打順でここまで低い数値が出ているのは少し気になります。特にマーティン選手以外の日本人選手がこの打順に置かれたときに十分な仕事を果たせていないことが多く、この打順を任されることの多い中村奨吾選手や菅野選手ら中堅野手陣の更なる打撃力アップはリーグ優勝を達成するために必要不可欠になってきそうです。比較的良い数字を示している井上選手が五番や七番にいるのは怖いですが、チームトップレベルの長打力を持つ井上選手を下位に置いている余裕は無いと思うので、適正打順の見直しも念入りに検討してほしいです。

相性分析

 もう一つのデータは対戦チームごとの相性分析になります。私が作った指標も使っているので、表で使っている各指標について補足説明をしておきます。

QS% : 先発投手のクオリティスタート(6回以上投げて自責点3点以下)試合の割合
QSP : QS試合における貯金;左横のW、L、DはQS試合における勝敗を示す
QR/G : 一試合あたりのクオリティリリーフ* ; 救援投手のリリーフ精度を示す
※ クオリティリリーフ[QR]とは、以前の記事でまとめた救援投手の"リリーフ成功率"を反映した指標で、成功率が80%を超えるとプラス、下回るとマイナスになるようになっている
aQS% : 相手先発投手からの被QS回避率 ; 打線が相手先発投手をどれだけ攻略できたかを示す
aQSP : 相手先発投手からの被QS回避試合における貯金;左横のW、L、Dは被QS回避試合における勝敗を示す
aQR/G : 相手救援投手からの被クオリティリリーフ回避の試合平均 ; 相手救援投手のQRに-1をかけた数値になっている ; 打線が僅差の展開で相手救援投手をどれだけ打っているかを示す
SBI/G : 自チームの一試合あたりの赤星式盗塁*から相手野手の一試合あたりの赤星式盗塁*を引いた数値 ; 攻撃時の野手の盗塁技術と守備時の盗塁阻止技術を併せた指標
※ 赤星式盗塁 = 盗塁 - 盗塁死 × 2

aEI/G : 相手野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値から自チーム野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値を引いた数値 ; 守備力ではなく、エラー回避能力を示す
※失策による失点は、投手の失点から自責点を引いた数字

 これらの指標を使って勝敗や得失点差に加え、投手や打線の各対戦チームに対する相性や盗塁、エラーの対戦チームごとの傾向を見ていきます。

2020年ロッテ相性分析

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 平均よりある程度高いか()、平均程度か()、低いか()で色分けしています。 最初の6連戦で"6タテ"という珍記録を達成したオリックスを投打ともに圧倒しており、得意チームにできたのはAクラス入りの大きな原動力になりました。また終盤は盛り返されたものの、ソフトバンク戦も昨年に続き相性の良さを示していますこの2チームに対しては、QSP(QS試合の貯金)とaQSP(被QS回避試合の貯金)が多く先発投手や打線が仕事した試合をしっかりものにできていたことが分かります。一方、辻監督の就任以来苦手にしている西武戦や先発陣がよく打たれている楽天戦日本ハム戦では平均以下の数字が並んでいます。今年も良い成績を残すには、この3チームとの試合をどう戦っていくかが鍵になりそうです。

 

3. シーズンオフの選手の動きと新外国人分析

オフの選手の動き

【2020-2021】ロッテ主な入退団

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 オフに最も去就が注目された澤村拓一投手は17日にレッドソックスへの移籍が決まりました。人気と実力を兼ね備えた選手だっただけに移籍は惜しいですが、ロッテとしても海外FAの権利取得が近いことを知りながらの獲得だったと思うので、想定範囲内の動きで快く送り出せたのではないでしょうか。これはセ・リーグに移籍したチェン・ウェイン投手にも同じことが言えますね。一方、この二人の退団よりチーム編成上大きいのが、貴重な救援左腕のチェン・グァンユウ投手の退団でしょう。ここ数年はロングリリーフも難なくこなし、存在感は年々強まっていただけに、痛い放出となってしまいましたまた落ち着いたら、ロッテで投げているところを見たいですね。

 ドラフトでは、注目の大学生左腕・鈴木昭汰投手を始め、年齢、ポジションのバランス良く指名しました。遊撃守備評価の高い小川龍成選手、192cmの長身右腕・河村説人投手も即戦力として期待の大きい選手です。投打とも世代交代は課題なので、一年目から大事な役割を任される活躍に期待したいです。そして、新外国人としてはメジャー実績も豊富なアデイニー・エチェバリア内野手(詳細は次項参照)を獲得しました。ウィークポイントになってきている遊撃、三塁を守れるので、同ポジションのレギュラー野手に更なる成長を促す意味合いも強い補強と言えるでしょう。また、昨年はBCリーグ富山でプレーしたサンディ・サントス外野手は育成契約ですが、外国人枠が余りそうなこともあり、外野のレギュラー選手の成績次第では支配下のチャンスも巡ってきそうです。

新外国人分析

 この項では、今年からNPB入りとなる選手の過去の成績を見ていきます。ロッテが獲得したアデイニー・エチェバリア選手は緊急事態宣言による入国規制のため未だ来日の目処が立っておらず、開幕にも間に合わないことが濃厚ですが、一応早いうちに一軍に合流する想定で分析します。

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 今年32歳を迎えるエチェバリア選手は、メジャー昇格以降遊撃手を主戦場として活躍してきた選手です。2013年から2016年には再建期のマーリンズでレギュラー遊撃手として活躍しました。イチロー氏の在籍期間とも被っているので、覚えている方もいるかもしれません。期待の遊撃守備は年齢もあって全盛期のクオリティーは望めませんが、二塁や三塁も守れるので起用面ではかなり有難い選手になるでしょう。一方、打撃面ではキャリア通じて四球率が低く、長打力もメジャーレベルでは良い数字を残せていません。しかし、一昨年には221打席でキャリアハイの9本塁打を放つパンチ力もありうまくNPBの投手の攻めに対応すれば予想外に良い成績を残す可能性もあります。同郷のマーティン選手のようにファンに愛される選手になってほしいですね。

 

4. 2021年の予想布陣

 最後に今シーズンの予想布陣を見ていきましょう。 投手、野手ともに昨シーズンの成績と一軍実績や年齢、最近の二軍成績や記事をもとに、今年の陣容を考えてみました。実績があっても怪我や未入国のため計算できない選手もいるため、選手の背景色によって選手の状態(ほぼ異常なしと思われる選手故障の影響が大きいと思われる選手灰色未合流の選手開幕時点で育成契約の選手)が分かるようにしています。年齢や怪我の状態を考慮して実績があっても載せていない選手もいますが、その点はご了承ください。

投手陣

2021年ロッテ投手予想布陣

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疲弊度は、以前の記事でまとめた昨シーズンの"勤続疲労"を示す指標で、登板間隔が短く投球数が多いほど大きくなります。

 まず先発陣は、ベテランの域に差し掛かっている石川歩投手、美馬投手から若手先発陣へのエースの世代交代が求められる一年になります。中でも若手実績トップの二木投手は、チーム最多投球回と最多勝を両取りできるくらいの活躍に大いに期待したいです。成長を続ける3年目の小島投手も規定投球回と二桁勝利がノルマになってきます。ベテランエースの二人もまだまだ規定投球回を超えてくると思うので、打撃陣が得点力を維持できればチーム全体の調子も安定するのではないでしょうか。5番手以降は岩下投手を筆頭に、中村稔弥投手や古谷拓郎投手、育成2年目の本前郁也投手(※3月14日に支配下登録)らが候補になってくるでしょう。ルーキーの鈴木昭汰投手も含め全員が25歳以下と伸び代しかないので、ハイレベルなローテ争いに期待です。また、怪我からの完全復活を期す大嶺祐太投手、有吉優樹投手らも期待できます。特に長い間成績を残せていない大嶺投手はトミー・ジョン手術からの復帰を球団が待ってくれたこともあり、今年に懸ける気持ちは人一倍強いと思うので、是非キャリアハイの成績を残してほしいです。

 救援陣は、唐川-ハーマン-益田の勝利の方程式が軸になります。ただハーマン投手は今年37歳と高齢であり、唐川投手も通年での中継ぎ実績は無いので、小野投手や東條投手、残留した松永昂大投手の状態に応じて的確に勝ちパターンを編成していきたいところです。他の投手では、来日2年目のフローレス投手や3年目の東妻勇輔投手、ルーキーの河村説人投手らの台頭も注目です。特に昨季終盤に飛躍の予感を感じさせたフローレス投手が働いてくれれば外国人枠をほぼフルで使えるので、キーマンと言えそうです。そして4年目の山本大貴投手、高卒3年目の土居豪人投手も今年のブレイク候補です。高齢になりつつある勝ち継投陣の立場を脅かすくらいの飛躍に期待したいですね。

野手陣

 野手陣は、昨年の成績をもとに3パターンの予想打線を組みました。パターンA昨シーズンの最も良い時の打線をベースにした理想打線パターンB二年目のジンクスを考慮し、昨シーズンブレイクした選手を除いて実績や経験を重視した打線パターンC年齢や体調不良によるパフォーマンス低下を考慮し、若手を多く起用した打線になっています。

2021年ロッテ野手予想布陣

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(2021/6/10/修正/清田選手の契約解除に伴い江村直也選手を追加)

 得点貢献度の高いマーティン選手、中村奨吾選手、井上選手の3人が、今年も打線の中核担っていくことになります。中村奨吾選手と井上選手は2018年をピークに打撃成績が落ちてきていますが、今年はより長打に拘ってチームを引っ張ってほしいですね。ここに万全な状態の荻野貴司選手とレアード選手が加われば良い感じですが、二人とも年齢や怪我の影響でシーズン通しては計算しにくくなっているので、同ポジションで次世代中軸候補の安田選手と藤原選手はスタメンとして文句の出ない成績を残して実力でレギュラーを確保してほしいです。若手では他にも昨年代走で結果を出した和田康士朗選手や大卒2年目の髙部瑛斗選手、3年目を迎える未来のスラッガー・山口航輝選手らプロスペクトが多くいますし、角中勝也選手ら中堅野手陣の状態次第では一気に世代交代が進むシーズンになりそうです。
 また、ここ二年は田村龍弘選手と柿沼友哉選手の併用体制になっている捕手陣は打撃力アップが課題です。守備的要素が大きいポジションとはいえ、一定の打撃成績を維持できなければ得点が取れずに更に守備の負担が大きくなってしまうので、昨年は代打で存在感を見せた佐藤都志也選手らとしっかり競争させてほしいです。そして、課題の遊撃手は守備力でリードするルーキーの小川龍成選手に期待です。開幕には間に合いませんがエチェバリア選手も獲りましたし、プロ入り以来初めてレギュラーを"自力で取りに行く"ことが求められる藤岡選手の成長にも注目したいですね。

 

5. 終わりに

 以上、2021年の千葉ロッテマリーンズの戦力分析でした。昨年はリーグ優勝を逃しましたが、安田選手の四番固定など"育成年"の意味合いも強かったシーズンであったところも見受けられます。若手とベテランのピークが重なるであろう今年はリーグ優勝の大チャンスだと思うので、チーム47年ぶりの悲願を達成してほしいですね。

 次回は昨季パ・リーグ3位の埼玉西武ライオンズの記事になります。それではまた。

 

6. 参考サイト

プロ野球 - スポーツナビ

NPB.jp 日本野球機構

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2020年度版

データで楽しむプロ野球

2020年12球団パークファクター - 日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog

FanGraphs