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【2021年版】読売ジャイアンツ戦力分析

 大谷翔平選手がオープン戦から好調ですね!昨年は打者としても不調に陥り"二刀流限界論"が加熱しましたが、やはりトミー・ジョン手術のリハビリをしながらメジャーの投手と対峙するのは想像以上の困難があるのでしょう。私も投手としては常に故障の心配があるので打者専念派でしたが、野球に真摯な大谷選手自身が信念を持って取り組んでいることなので、メジャー初の'Two-Way Player'として全世界の野球ファンを驚嘆させるような成績を残して球史に名を刻んでほしいですね。

 今回は2021年の12球団戦力分析の第七回で、昨年のセ・リーグを制した読売ジャイアンツの戦力分析になります。どうぞご一読を。

 

1. 2020年の総括

シーズン成績

 

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 昨年の巨人は序盤から首位を独走し原巨人九度目となるリーグ優勝を果たしました。外国人野手と救援陣の稼働率というチームの弱点をシーズン前にしっかり分析し、序盤のトレードで一年間戦える形を整えたのが良かったですね。一方で10月以降は投打が噛み合わずに接戦を落とすことが多くなり、優勝決定も5連敗中になってしまうなど、ポストシーズンへ向けたムードを作れずにシーズンを終えてしまったのは反省点です。その悪い空気のまま突入したソフトバンクとの日本シリーズで味わった屈辱は生涯忘れられないでしょう。終盤は打線も固定気味でしたし、日本シリーズでの采配もあって原監督の判断力の衰えを感じる場面も目立つシーズンでした。

投手成績

2020年巨人先発

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 先発陣は、エースの菅野智之投手が安定感を取り戻し、開幕投手の連勝記録でスタルヒン氏を超えるなど沢村賞に準じる成績でチームを引っ張ってくれました。中盤まで12先発で10回マークしていたHQSをそれ以降は1回しか達成できず、自身三度目のタイトルを決定的なものにできなかったのは悔やまれますがプロ入り以降ローテの柱を担い続けていることを考えると本当によくやってくれていると労ってあげてほしいですね。また、高卒2年目にして先発としてシーズンを全うし、同世代の注目選手に先陣を切って結果を出した戸郷翔征投手の飛躍も見事でした。日本シリーズでは奇策で配置転換されてしまいましたが、若くして大舞台を経験できたのも良かったですね。一方、他の先発投手で及第点以上と言えるのは終盤から力を発揮したサンチェス投手くらいで、リーグを代表してパ・リーグと対峙するチームの先発陣としては十分な陣容が揃っていませんでしたメルセデス投手の故障離脱は確かに痛いですが、やはりそこで力を発揮仕切れない生え抜き若手先発陣がもどかしかったですね。

2020年巨人救援

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 救援陣は、途中加入で救援投手チームトップのKD(小松式ドネーション:投球回 × 3 + (勝利 + ホールド + セーブ) × 10)をマークした高梨雄平投手の補強が効果的でした。勝ちパターンの中川皓太投手とデラロサ投手のどちらかが居ない期間が2ヶ月以上あった中で中盤から僅差の展開を繋いでくれたのは頼もしかったですね。また、高梨投手と同等の登板間隔で投げた大江竜聖投手や鍵谷陽平投手も短縮日程の苦しいブルペンを支えてくれました。昨年に続いて渋い働きを見せたベテランの大竹寛投手の存在も大きかったように思います。離脱者が多かった中で田中豊樹投手ら代役が出てきたことを考慮しても、リーグトップレベルの陣容を整えていたと言っていいでしょう。

 全体的には、特に先発陣が顕著ですが若手生え抜き投手の不甲斐なさが目立ちます。ただこれは若手投手個人の問題ではなく若手投手に対して当たりが強く多くを求めがちな割に、全盛期を過ぎた高年俸のFA選手と競争させ成長の芽を摘む球団側の問題も大きいでしょう。最近はFAで複数年以上先発を期待できる投手はなかなか市場に出てこなくなってきていますし、このある意味"自転車操業的"とも言える悪い流れを変える為に制度でなく球団が変わっていかなければなりません

打撃成績

2020年巨人打線

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 打撃陣右打者最年少の2000本安打も達成した坂本勇人選手と岡本和真選手、丸佳浩選手の3人が今年も期待通りの成績を残し、チームの核となってくれました岡本選手は三塁手としても成長しましたし、守備的にも大事な3つのポジションに攻守にリーグトップレベルの丈夫な野手を揃えているのはシーズンを戦う上でかなりのアドバンテージになっています。また、捕手としての出場を増やしながら年々打撃成績を上げている大城卓三選手と4年目で初めて離脱が無く規定に達した吉川尚輝選手がレギュラー野手としてシーズン完遂したのも良かったです。高齢化していた右翼手にも育成出身の松原聖弥選手が出てきましたし、次世代の若手野手の成長が見られたという点でチームにとって非常に大きな一年になったのではないでしょうか。

 一方で、これらの選手以外の若手控え野手には打力のある選手を揃えられておらず、前年度対戦した主力野手陣を徹底的に分析していたソフトバンクバッテリーに手も足も出なかったのは頂けません。日本シリーズでただ一人奮闘したウィーラー選手や中島宏之選手をうまく起用して活躍させたのは確かに良い点ではありますが、特に中島選手のような大ベテランは勝負所の代打で出てきてこそ怖い選手だと思うので、チームが低調だった終盤にもっと控え野手陣を試して采配の幅を広げていればと思わずにはいられないシーズンでもありました。

 毎年優勝を求められる球団として一時も油断ができないのは判りますが投手も野手も全般的に若手選手に対する要求が高過ぎるように思います。それでいて最近はFA選手の見極めもできなくなりつつありますしそのFA選手によって出場機会が奪われ若手育成が遅れるという悪循環に嵌っているようにも見えます。最近は監督主導でDH導入などの改革案を進言していますがそれに賛同したいと思えるような模範となる球団としての立ち振る舞いができていないと思いました。

 

2. 打順分析と相性分析

 この節では毎回、少し変わった視点から見た2つのデータを見ていきます。

打順分析

 一つ目は打順分析です。出塁率(OBP)長打率(SLG)に加え、選手の得点貢献度を示すHPRP( 得点関与数[得点 + 打点 - 本塁打]/打席)を各打順ごとの平均と比較することで、リーグの平均的な打線と比べて、代打も含めて各打順にどのようなタイプの打者が置かれ、どのような仕事をしていたかを見ていきます(HPRPを使った経緯は以前の記事参照)。なお、このデータは簡単にパークファクターも反映したものになっています。

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 打順下の選手名はその打順にスタメンで置かれた上位2選手(8割以上スタメンで出ている場合はその1選手のみ表示)になっています。OBPgap青棒)、SLGgap橙棒)、HPRPgap灰棒)は各打順における各指標のリーグ平均との差を示しています。

 昨年は坂本選手の一、二番でのスタメンが過去2年より少なかったこともあり、上位打線で大きくプラスは叩き出せていませんしかし全体的に得点貢献度はプラスになっており、見た目の指標に反して得点効率の高い打線が組めていたと言えるでしょう。序盤にニ、三番で結果が出ていなかった丸選手を五番に抜擢して復調させたのは経験豊富な原監督ならではの采配でしたし、中盤から重い打順を任せた吉川尚輝選手や松原選手が将来へ向けて貴重な経験を積めたのも良かったです大城選手が"打てる捕手"として順調に育っていることもあり、八番まで気が抜けない打線を組めるのも良いですね。

 その一方で、日本シリーズでもシーズン終盤の打順に頑なに拘り、反攻のタイミングを完全に逸したのは名監督らしからぬ失態でした。シーズンであまり重用しなかった選手要所で使えば意気に感じて結果を出すかもしれませんし、投手の良いソフトバンクに対してイメージと違う戦い方をさせることもできますセ・リーグの看板を背負っているなら、プライドを捨ててでも泥臭く戦う気概も見せてほしいです。

相性分析

 もう一つのデータは対戦チームごとの相性分析になります。私が作った指標も使っているので、表で使っている各指標について補足説明をしておきます。

QS% : 先発投手のクオリティスタート(6回以上投げて自責点3点以下)試合の割合
QSP : QS試合における貯金;左横のW、L、DはQS試合における勝敗を示す
QR/G : 一試合あたりのクオリティリリーフ* ; 救援投手のリリーフ精度を示す
※ クオリティリリーフ[QR]とは、以前の記事でまとめた救援投手の"リリーフ成功率"を反映した指標で、成功率が80%を超えるとプラス、下回るとマイナスになるようになっている
aQS% : 相手先発投手からの被QS回避率 ; 打線が相手先発投手をどれだけ攻略できたかを示す
aQSP : 相手先発投手からの被QS回避試合における貯金;左横のW、L、Dは被QS回避試合における勝敗を示す
aQR/G : 相手救援投手からの被クオリティリリーフ回避の試合平均 ; 相手救援投手のQRに-1をかけた数値になっている ; 打線が僅差の展開で相手救援投手をどれだけ打っているかを示す
SBI/G : 自チームの一試合あたりの赤星式盗塁*から相手野手の一試合あたりの赤星式盗塁*を引いた数値 ; 攻撃時の野手の盗塁技術と守備時の盗塁阻止技術を併せた指標
※ 赤星式盗塁 = 盗塁 - 盗塁死 × 2

aEI/G : 相手野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値から自チーム野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値を引いた数値 ; 守備力ではなく、エラー回避能力を示す
※失策による失点は、投手の失点から自責点を引いた数字

 これらの指標を使って勝敗や得失点差に加え、投手や打線の各対戦チームに対する相性や盗塁、エラーの対戦チームごとの傾向を見ていきます。

2020年巨人相性分析

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 平均よりある程度高いか()、平均程度か()、低いか()で色分けしています。長年借金を作っていない阪神に対する相性の良さが目立ちます。補強に熱心なライバル球団のレギュラー野手に対してここ6年で5回防御率2点台、貯金37完全に苦手意識を植え付けているのは、シーズンを戦う上でかなりのアドバンテージになっていると言えるでしょう。打線はそれなりにQSも食らっており、エースの西投手や髙橋遥人投手には計6勝を献上しているのですが、被QSを回避した試合を全てものにしているのにはペナント巧者の風格も感じさせられます。全体的にもQS試合と被QS回避試合の貯金が多く、メリハリを利かせたシーズン運びができていることが分かります。課題と言えるのは、最後6連敗で終わった対DeNA戦くらいでしょうか。ただ阪神や広島など良い先発が揃ってきているチーム当てられる投手によって勝敗も変わりやすいので、今後もしっかりミーティングを重ねてローテを組むことが重要になりそうです。

 

3. シーズンオフの選手の動きと新外国人分析

オフの選手の動き

【2020-2021】巨人主な入退団

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 昨オフは2年ぶりのFA戦線に乗り出し、DeNAから梶谷隆幸選手と井納翔一投手を獲得しました。ここ数年弱点になりかけている右翼手と先発投手を同一リーグから補給できたのは、今後数年のシーズンを戦う上で大きいでしょう。両選手ともキャリア後半に入っている選手ではありますが、チームに欠かせない選手として日本一へ向けた最後のピースとなる活躍に期待です。なお、梶谷選手のFAに伴う人的補償として田中俊太選手がDeNAに移籍しています。巨人では一軍で地位を確保できませんでしたが、慣れ親しんだ土地に帰ってきたことで心機一転飛躍を見せてくれれば良いですね

 また新外国人野手としては、メジャー通算196本塁打のジャスティン・スモーク選手と同96本塁打のエリック・テームズ選手というビッグネームを二人も獲得しました。両者ともメインポジションは一塁手なので、場合によってはどちらかがベンチに回ることも考えられる近年例を見ない豪華な補強になっています。34歳とベテランの二人ではありますが実績は申し分ありませんし、梶谷選手も併せると相当な強力打線が組めるようになることは間違いありません。是非全員が万全の状態で日本シリーズに臨めるようなシーズンを送ってほしいですね。

 一方ドラフトはまたもくじは外してしまいましたが、平内龍太投手、山崎伊織投手の大学注目右腕を上位で指名しました。両者とも故障歴はありますが、何とかプロの環境に適応して数年後エースを張れるくらいの投手になってほしいですね。他にも社会人トップ選手の伊藤優輔投手や投打ともに評価の高い2メートル高校生・秋広優人選手など育成も含めて19選手を指名しており、3軍制で先を行かれたソフトバンクに追いつこうとする意志を強く感じるドラフトとなりました。

 そしてポスティングを行使しメジャー移籍を目指していた菅野投手コロナ禍の影響で年俸面で満足のいく条件が提示されなかったこともあり今年は巨人に残留することになりました。ようやく球団にポスティングを認められ、メジャー挑戦に懸ける思いも汲み取れるので少し気の毒ではありますが、高齢でも活躍した日本人メジャーリーガーもいるので気持ちを切らさずに頑張ってほしいですね。

新外国人分析

 この項では、今年からNPB入りとなる選手の過去の成績を見ていきます。巨人が獲得した2選手は緊急事態宣言による入国規制のため未だ来日の目処が立っておらず、開幕にも間に合わないことが濃厚ですが、一応早いうちに一軍に合流する想定で分析します。

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 スモーク選手は長打力が魅力のスイッチヒッターです。イチロー選手ともプレーしたマリナーズ時代はいまいち殻を破れませんでしたが、ブルージェイズへ移籍後の2017年にオールスターに選ばれるほどの活躍でブレイクを果たし、637打席で38本塁打、OPS.883という優秀な成績を残しています。ただこの年以降は例年と同程度の低打率に終わっており、"フライボールレボリューション"と技術的なピークが一致しての成績という感じでしょうか。三振が多く確実性は低いものの当たれば飛ばす典型的な外国人スラッガータイプで、苦手とする落ちるボールの見極めができれば岡本選手の後ろでランナーを一掃してくれそうです。

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 テームズ選手はマイナーからKBOに活路を求めて実績を積み、30歳を過ぎてMLBでも結果を出した苦労人とも呼べる選手です。KBO・NCダイノスに所属した2015年.381、47本、40盗塁、OPS1.287という驚異的な成績を残していることから、韓国の野球ファンの間ではバース級の伝説的な選手となっていることが窺われます。メジャー復帰後も2017年と2019年に400打席以上でOPS.850以上をマークしており、打撃面での衰えは心配ないと言っていいでしょう。球団が想定する外野手としては守備力に課題を残すもののメジャー屈指のパワーは本物なので、日本の投手にうまく適応して前人未到の"3カ国で30本塁打"を達成してほしいですね。

 

4. 2021年の予想布陣

 最後に今シーズンの予想布陣を見ていきましょう。 投手、野手ともに昨シーズンの成績と一軍実績や年齢、最近の二軍成績や記事をもとに、今年の陣容を考えてみました。実績があっても怪我や未入国のため計算できない選手もいるため、選手の背景色によって選手の状態(ほぼ異常なしと思われる選手故障の影響が大きいと思われる選手灰色未合流の選手キャンプ開始時点で育成契約の選手)が分かるようにしています。年齢や怪我の状態を考慮して実績があっても載せていない選手もいますが、その点はご了承ください。

投手陣

2021年巨人投手予想布陣

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疲弊度は、以前の記事でまとめた昨シーズンの"勤続疲労"を示す指標で、登板間隔が短く投球数が多いほど大きくなります。

 先発陣今年もエースの菅野投手が中心になりますが、日本一を磐石なものにするには戸郷投手とサンチェス投手も同程度の活躍が求められます。3人全員がタイトルも狙えるくらいチームの柱となってくれれば最高ですね。他の2人より10歳以上も若い戸郷投手は、昨年が短縮日程だったことを考えると初のフルシーズンに臨む一年になりますが、同じ年齢の時に既にエースだった桑田コーチくらい存在感のある働きを大いに期待したいです。首脳陣はこの「三本柱」をうまく入れ替えて、QS率の高い他球団のエース陣から1つでも多くの星を奪うことを意識してほしいですね。また、4番手は井納投手に任せることになります。配置転換も経験したDeNAでは先発としていまいち信用を得られませんでしたが、強力打線を味方にQSを量産してラミレス監督に"恩返し"してほしいですね。そして、メルセデス投手が入国制限と怪我で計算ができず、田口麗斗投手をトレードで放出したことで空いている残りの2枠生え抜き若手投手陣が埋めることになります。3年目の横川凱投手やルーキーの伊藤優輔投手も候補に入ってきそうですが、中でも日本シリーズを経験している髙橋優貴投手、今村信貴投手、畠世周投手の3人は懸けられている期待も大きいと思うので、充実した一年を送って今度こそ大舞台でパ・リーグを相手に勝利をもぎ取ってほしいですね。

 救援陣は、初めて開幕から抑えを任される中川投手が軸になります。この2年は抑えを一年間固定せずに優勝しましたが、最後の回を全幅の信頼を置く投手が締めることでチームの調子も安定すると思うので、是非シーズンを全うしてセーブ王のタイトルをものにしてほしいです。そして、中川投手の脇を固める勝ちパターンは昨年結果を出した高梨投手、鍵谷投手、大江投手で形成していくことになります。デラロサ投手が怪我で通年の計算が立たないのは痛いですが、外国人では昨年日本シリーズ最速の164km/hをマークしたビエイラ投手も居ますし、久しぶりに勝利の方程式が組めるような活躍にも期待したいですね。

野手陣

 野手陣は、昨年の成績をもとに3パターンの予想打線を組みました。パターンA昨シーズンの最も良い時の打線をベースにした理想打線パターンB二年目のジンクスを考慮し、昨シーズンブレイクした選手を除いて実績や経験を重視した打線パターンC年齢や体調不良によるパフォーマンス低下を考慮し、若手を多く起用した打線になっています。

2021年巨人野手予想布陣

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 坂本岡本の絶対的レギュラーに出塁率が計算できる梶谷選手が加わり非常に上質な上位打線が組めるようになります。梶谷選手は怪我から復活を遂げて二年目のシーズンになりますが、日本一のキーマンとしての責任感をこれまでで一番意識して迎えるシーズンだと思うので、なんとか3人とともに長いシーズンを完走して4人でベストナインを獲得してほしいですね。そして、正捕手の大城選手は初の規定到達がノルマになります。分業制が主流になっている今だからこそ、これだけの打力を持つ選手を捕手に固定できるアドバンテージがどんどん大きくなっていると思うので、攻守に成長して"打てる捕手"として球史に名を刻む年にしてほしいです。彼と坂本選手の後釜筆頭候補の吉川尚輝選手を次代のチームリーダーとして独り立ちさせることが、セ・リーグを代表する球団になるための第一歩と言っても過言ではありません。二人と同じポジションには小林誠司選手や岸田行倫選手、北村拓己選手やヤクルトから獲得した廣岡大志選手もいますが、首脳陣は今年もこの2人を岡本選手と同列の選手として拘って起用してほしいですね。

 一方、スモーク選手とテームズ選手の来日遅れで埋まっていない左翼手と一塁手若手の台頭に期待です。第一候補となる松原選手や若林晃弘選手を始め、盗塁力で一歩リードする増田大輝選手、育成からのスタメン奪取を目指す山下航汰選手や香月一也選手、外野もできる廣岡選手らで意識し合って高いレベルで競争してほしいですね。そして勿論、キャンプ当初から才能の片鱗を見せている18歳・秋広優人選手の鮮烈な一軍デビューにも要注目です。彼らの中から将来のレギュラー候補が育ち、ウィーラー選手と中島選手を勝負所で起用できる体制が整えば日本一はすぐそこです。

 

5. 終わりに

 以上、2021年の読売ジャイアンツの戦力分析でした。今年から杉内コーチや村田コーチを一軍に上げ、桑田氏も迎え入れたことで次代の体制へ向けて着々と準備を進めていることが窺えます。これらの現代野球を熟知しているスタッフと現首脳陣が連携を取り合って指導法の改善や選手のメンタル管理を率先して行えばチームはより良い方向に変わっていくでしょう。批判的なことも書きましたが原監督は今後もチーム運営に長く携わっていくと思うので、将来的にブランドや待遇面だけでなく野球環境の面でも選手を惹きつけるNPBを代表するチームであり続けるために新たなスタートを切る一年にしてほしいです。

 次回は昨季セ・リーグ2位の阪神タイガースの記事になります。それではまた。

 

6. 参考サイト

プロ野球 - スポーツナビ

NPB.jp 日本野球機構

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2020年度版

データで楽しむプロ野球

2020年12球団パークファクター - 日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog

FanGraphs

Baseball Savant

STATIZ