本日遂にメジャーでも『一番・大谷』がデビューしましたね!最速164km/hの直球に加えて今回は制球も良く、4回2被安打1失点5奪三振に打撃で2安打1四球と漫画のような内容で、現実ではないものを見ているかのようです。一年目のトミー・ジョン手術を始め度重なる怪我とリハビリを乗り越え、ようやく地球初の二刀流選手として最高の舞台に臨む準備が整ったということでしょう。打てる投手として一年を乗り切るにはまた別の試練も待っているかもしれませんが、何とか乗り越えて誰も想像し得ない成績を残し、世界中を熱狂させてほしいですね。
今回は2021年の12球団戦力分析の第十一回で、昨年セ・リーグ5位に終わった広島東洋カープの戦力分析になります。どうぞご一読を。
1. 2020年の総括
シーズン成績
昨年の広島は、抑え投手の固定にも苦戦した7月と、先発投手の不調で失速した9月に大きく借金を作り、そのまま5位に終わりました。特に三連覇の代償が残る救援陣に計算できなくなっている選手が多く、僅差の展開を戦い抜く戦力が揃っていなかった印象です。それでも先発陣が調子を上げてきた10月以降は19勝11敗4分とかなりの好成績であったことを考えると、監督を変えた初年度としてはそれなりのシーズンだったと言っていいでしょう。長年不振にあえいでいた堂林翔太選手の再ブレイクがとりわけ感動的で、見る側にとっても厳しい一年間を乗り切る心の拠り所になっていたのが良かった気がします。
投手成績
先発陣は、九里亜蓮投手とルーキーの森下暢仁投手が柱の役割を果たしてくれました。過去3年で先発としての実績を少しずつ上げていた九里投手でしたが、昨年は離脱者が多い中最後までローテを守り切り、遂に規定投球回に到達しました。特に六連続HQSもマークし、球界のエース相手にも勝ち星をもぎ取った終盤戦の獅子奮迅の活躍には惚れ惚れさせられましたね。一方の森下投手も多い球数を投げさせられながらも序盤から一年目とは思えないほど高精度に安定していましたし、一気にエース級の投手が二人も出てきた素晴らしい一年でした。9月に右肘の手術を受けたエースの大瀬良大地投手も二人が居てくれたことで安心できたのではないでしょうか。チームを長く支えたジョンソン投手が衰えてしまったのは残念でしたが、先発に転向した高卒3年目の遠藤淳志投手も短縮日程の中で100イニングを超えてきましたし、終盤に復調した床田寛樹投手や中村祐太投手も含めて将来へ向けて明るい要素の多い有意義なシーズンが送れていました。
一方の救援陣は、開幕カードのスコット選手のセンセーショナルなセーブ失敗に始まり、それ以降も代えた抑え投手が2試合目以降調子を崩すことが相次ぐなど迷走していました。フランスア投手が抑えに納まった7月末以降は少し持ち直したものの、前半戦はセットアッパーの役割を担っていた塹江敦哉投手が成績を落としながらも登板を重ねるなど、勝つための投手の絶対数が足りていなかった感があります。監督が代わった一季目で塹江投手やケムナ誠投手、島内颯太郎投手ら若手選手が一軍のフルシーズンを経験できたという意味では悪い年ではありませんでしたが、計算が立つ投手が少なく次の年へ向けて不安要素の多い一年でした。
全体としては、中﨑翔太投手、今村猛投手、一岡竜司投手といった三連覇を支えた中継ぎ投手が一斉に成績を落としてしまったことがチーム全体を狂わせているという状態になっています。ただこの3人の奮闘が無ければ今のカープ人気は無かったので、この2年間の低迷はある意味仕方のないこととも言えるのかもしれません。佐々岡監督は"上がって落ちる"過程を目撃した当事者として、より長い黄金期を築き上げるために強靭な投手陣を作り上げていくことに邁進してほしいですね。
打撃成績
打撃陣は、丸選手の穴の大きさが強く感じた前年度からは多少得点力を上げ、リーグ2位の得点数、同3位のOPSとリーグ上位の打線を形成できていました。復活した堂林選手と移籍二年目の長野久義選手やピレラ選手が成績を残し、更に前年度極度の不振に陥っていた田中広輔選手が後半戦から復調したことで打線の穴が少なくなったのが良かったですね。菊池涼介選手もいつも通りの安定した打撃に加え、シーズン連続守備機会無失策のリーグ新記録を更新してシーズン守備率10割を達成するなどNPB屈指の二塁手として新たな金字塔を打ち立てました。これに加え、一軍経験が少なかった4年目の坂倉将吾選手が捕手と打者の両方で結果を出すなど正捕手の會澤翼選手頼りだったバッテリー面でも大きく前進したシーズンでした。
一方で、バティスタ選手が退団した後の一塁手にベテランの松山竜平選手を固定し、特に守備面で大きく遅れを取っていたのはマイナスポイントです。全体的に見ても若手陣の台頭がやや不足気味ですし、黄金期のレギュラー陣の衰えをカバーする育成やスカウティングが今後も引き続き重要になります。故障離脱のあった西川龍馬選手や球界トップレベルの打者としては成績を伸ばせなかった鈴木誠也選手の主軸打者陣にとっては悔しいシーズンでしたでしょうし、この2人のピークを最大限に活かすようなチーム運営を心掛けていきたいところです。
2. 打順分析と相性分析
この節では毎回、少し変わった視点から見た2つのデータを見ていきます。
打順分析
一つ目は打順分析です。出塁率(OBP)と長打率(SLG)に加え、選手の得点貢献度を示すHPRP( 得点関与数[得点 + 打点 - 本塁打]/打席)を各打順ごとの平均と比較することで、リーグの平均的な打線と比べて、代打も含めて各打順にどのようなタイプの打者が置かれ、どのような仕事をしていたかを見ていきます(HPRPを使った経緯は以前の記事参照)。なお、このデータは簡単にパークファクターも反映したものになっています。
打順下の選手名はその打順にスタメンで置かれた上位2選手(8割以上スタメンで出ている場合はその1選手のみ表示)になっています。OBPgap(青棒)、SLGgap(橙棒)、HPRPgap(灰棒)は各打順における各指標のリーグ平均との差を示しています。
ほとんどの打順で得点貢献度がプラスになっており、非常に得点効率の良い打線が組めていたことが分かります。中でも六番以降の下位打線は指標も大幅にプラスで、長野選手、坂倉選手ら優秀な代打陣も控えていたこともあって相手投手に息を付かせずに上位打線に回す良い攻撃ができていました。ただより上位を目指すためには貪欲に得点力向上を狙っていくことが肝要なので、特に指標面でマイナスだった三番と五番は改善する必要がありそうです。他の球団のパターンを見る限りは、余程の適任者がいないうちは三番に鈴木誠也選手を置いた方が良いと思うので、鈴木選手が勝負を避けられた時にある程度投手に負担をかけられる中距離以上の打者を後ろに置くことが重要になります。ここは最終盤にその打順に入った西川選手を筆頭に、外国人も含めた中堅陣の奮起に期待したいですね。
相性分析
もう一つのデータは対戦チームごとの相性分析になります。私が作った指標も使っているので、表で使っている各指標について補足説明をしておきます。
QS% : 先発投手のクオリティスタート(6回以上投げて自責点3点以下)試合の割合
QSP : QS試合における貯金;左横のW、L、DはQS試合における勝敗を示す
QR/G : 一試合あたりのクオリティリリーフ* ; 救援投手のリリーフ精度を示す
※ クオリティリリーフ[QR]とは、以前の記事でまとめた救援投手の"リリーフ成功率"を反映した指標で、成功率が80%を超えるとプラス、下回るとマイナスになるようになっている
aQS% : 相手先発投手からの被QS回避率 ; 打線が相手先発投手をどれだけ攻略できたかを示す
aQSP : 相手先発投手からの被QS回避試合における貯金;左横のW、L、Dは被QS回避試合における勝敗を示す
aQR/G : 相手救援投手からの被クオリティリリーフ回避の試合平均 ; 相手救援投手のQRに-1をかけた数値になっている ; 打線が僅差の展開で相手救援投手をどれだけ打っているかを示す
SBI/G : 自チームの一試合あたりの赤星式盗塁*から相手野手の一試合あたりの赤星式盗塁*を引いた数値 ; 攻撃時の野手の盗塁技術と守備時の盗塁阻止技術を併せた指標
※ 赤星式盗塁 = 盗塁 - 盗塁死 × 2
aEI/G : 相手野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値から自チーム野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値を引いた数値 ; 守備力ではなく、エラー回避能力を示す
※失策による失点は、投手の失点から自責点を引いた数字
これらの指標を使って勝敗や得失点差に加え、投手や打線の各対戦チームに対する相性や盗塁、エラーの対戦チームごとの傾向を見ていきます。
平均よりある程度高いか(赤)、平均程度か(緑)、低いか(青)で色分けしています。勝ちパターンの精度を示すQR/Gが全球団に対してマイナスとなっており、最大の改善ポイントになっています。ただQS達成試合での勝率は非常に高いことから先発が作った試合を確実にものにできていたのは良い点で、臨機応変な配置転換が行えていたことも窺えます。昨年は他のチームに比べてホールドポイントが極端に少なく、そもそも僅差でリードしている展開が少なかったおかげで救援登板数が抑えられたのも良かったのかもしれません。そんな救援陣を支えた先発陣を今シーズン以降も維持していかなければなりませんね。
相性面で気になるのは、唯一QS率の低い巨人戦でしょうか。QS勝率は高いので、昨年はあまり当たらなかった森下投手や大瀬良投手を当てて貯金に変えていきたいところです。あとは鈴木誠也選手以外の主力打者が苦手としている阪神戦やDeNA戦は打線の奮起に期待です。特に3点差以内での敗北が多かったDeNA戦は少しの工夫で星がひっくり返る可能性があるので、打線の組み替えを適宜行って得意カードにしてほしいですね。
3. シーズンオフの選手の動きと新外国人分析
オフの選手の動き
昨オフはジョンソン投手が退団し、石原慶幸捕手が現役引退するなど球団の功労者がチームを去りました。更に、終盤戦にかけて出場機会が減っていたピレラ選手を見切り、左翼手候補が一人いなくなった形になりました。まずまずの成績を残したピレラ選手の退団は痛いですが、球団としては年俸面も含めて他の選手を試すのをためらうほどの成績は残せなかったという判断だったのでしょう。これが吉と出るか凶と出るかは分かりませんが、松山選手や西川選手の守備位置に融通が利かせられることを考えると悪くないのかもしれません。
一方、新外国人としては2019年に3Aで本塁打王を獲っている内野手のケビン・クロン選手とドビーダス・ネバラスカス投手、カイル・バード投手の左右の救援投手を補強し、課題の中軸と勝ちパターン候補を補強しました。いずれもメジャーでは足跡を残せなかった選手達ですが、この災禍の中での来日でなんとかジャパニーズドリームを掴んでほしいですね。
また、ドラフトでは社会人ナンバーワン右腕の栗林良吏投手を一本釣りしたのを皮切りに森浦大輔投手、大道温貴投手と注目の即戦力投手を次々に指名し、投手力を大幅に増強しました。全員が先発ができる投手で、リリーフとしての起用がはばかられるのが嬉しい悩みですが、任された場所で一年目から活躍してほしいですね。他にも守備型遊撃手の矢野雅哉選手を指名し、若干高齢化している内野陣の次世代候補もしっかり補強しており、現時点で考えられる限りでは最高のドラフトができていました。どの選手も将来が楽しみですね。
新外国人分析
この項では、今年からNPB入りとなる選手の過去の成績を見ていきます。クロン選手以外の2選手は緊急事態宣言による入国規制のため未だ来日の目処が立っておらず、開幕にも間に合わないことが濃厚ですが、一応早いうちに一軍に合流する想定で分析します。
クロン選手は先月28歳になった一塁手兼三塁手で、2019年にダイヤモンドバックス傘下リノ・エーシズで38本塁打を放ち、377打席に立ってOPS1.226をマークした長打力が魅力の主砲候補です。同じ年の四球率だけが物凄く高いですが、急に選球眼が良くなることは考えにくいので、相手投手や後ろの打者など本人以外の要素が影響を与えての数字ではないかと推察されます。マイナー、メジャー通じて三振率が高く、少ない打席数ですがメジャーのデータを見る限りは低めの変化球に弱い外国人パワーヒッターに多いタイプと言えるでしょう。ただ新外国人選手で唯一入国規制前の1月3日に来日し、キャンプ前から鈴木誠也選手の打ち方を熱心に研究する非常に真面目な性格の選手なので、同僚の心強いアドバイスも胸に成長して大活躍する姿を見たいですね。
ネバラスカス投手は3Aに上がって以降は救援投手として登板してきた27歳の長身右腕です。与四球率はそれほど良くないものの、決め球のカーブの空振り率が高く、うまくハマれば勝ちパターンとしても計算できそうです。平均球速150km/h超えのフォーシームの被打率がかなり高いのは心配ですが、NPBでもそこそこの制球力を発揮できればフロントが想定している先発投手としても通用するのではないでしょうか。MLB初のリトアニア人メジャーリーガーでもあるので、是非活躍して母国の野球殿堂(?)にチャンピオンリングを飾ってほしいですね。
バード投手は変化量の大きいスライダーを軸にした投球術を持ち味とする救援左腕です。過去2年間の3Aではリーグを変えながらも30イニング以上投げて奪三振率10以上をマークしていることから、奪三振能力に関してもそれなりのものが期待できるのではないでしょうか。与四球率や被本塁打率などメジャー昇格の指標が悪すぎるのは気になりますが、単シーズンのデータだけでは何も分からないので、実際のプレーを見ているエルドレッド駐米スカウトの眼力を信じて日本での進化に期待したいですね。
4. 2021年の予想布陣
最後に今シーズンの予想布陣を見ていきましょう。 投手、野手ともに昨シーズンの成績と一軍実績や年齢、最近の二軍成績や記事をもとに、今年の陣容を考えてみました。実績があっても怪我や未入国のため計算できない選手もいるため、選手の背景色によって選手の状態(赤はほぼ異常なしと思われる選手、青は故障の影響が大きいと思われる選手、灰色は未合流の選手、緑はキャンプ開始時点で育成契約の選手)が分かるようにしています。年齢や怪我の状態を考慮して実績があっても載せていない選手もいますが、その点はご了承ください。
投手陣
※疲弊度は、以前の記事でまとめた昨シーズンの"勤続疲労"を示す指標で、登板間隔が短く投球数が多いほど大きくなります。
先発陣は、右肘の手術から半年で開幕に間に合わせてきたエースの大瀬良投手と2年目の森下投手、イニングイーターの九里投手の三枚看板が軸になります。大瀬良投手と森下投手は主要三部門のタイトル獲得、九里投手は最多投球回を達成できるくらいの成績を残してチームを力強く牽引してほしいですね。この3人が一年間ローテを守ってくれれば500イニング程度は消化できるので、CS圏内は堅いでしょう。4番手以降は昨年結果を出した遠藤淳志投手に加え、床田寛樹投手、中村祐太投手、更に昨年10月の手術から復帰した野村祐輔投手で回していくことになります。どの投手も本調子ならそこそこのQS率が期待できるのが強みで、打線の援護次第では4番手以降の投手からも2桁勝利投手が出るくらいの素晴らしいシーズンになるのではないでしょうか。この7人の合間を埋める先発として有力な投手が少ないのは少し気になりますが、ここは途中加入のネバラスカス投手や矢崎拓也投手らの頑張りに期待しましょう。谷間の先発となる彼らを含めて、これだけの枚数が揃っているチームは他に無いので、離脱者を最小限に抑えてポストシーズンに臨めるようなローテを組んでリーグ優勝を確固たるものにしてほしいです。
そして課題の救援陣は、栗林投手、森浦投手、大道投手の即戦力ルーキートリオ全員を中継ぎに配置したことで、ここ2シーズンよりも厚みが増しました。昨年クローザーを務めたフランスア投手までもが右膝手術で開幕前に計算が立たなくなってしまったのはかなりの不測の事態ですが、だからこそ3人を指名した甲斐があったと言うものです。後継守護神に抜擢された栗林投手を始め、ルーキーの3投手が一年目から勝ちパターンに入るような前代未聞のシーズンにしてほしいですね。勝ち継投では昨年結果を出したケムナ投手や塹江投手、島内投手の若手陣に加えて中田廉投手も今年も期待できそうですし、先発投手が作った試合を確実に引き分け以上に持ち込む粘り強いピッチングに期待です。あとは、昨季途中に加入したカープアカデミー出身の長身右腕・コルニエル投手も枠を考えると支配下に入ってきそう(※3月23日に支配下登録)ですし、次の黄金期を担う若いブルペン陣の飛躍の年となってほしいですね。
野手陣
野手陣は、昨年の成績をもとに3パターンの予想打線を組みました。パターンAが昨シーズンの最も良い時の打線をベースにした理想打線、パターンBが二年目のジンクスを考慮し、昨シーズンブレイクした選手を除いて実績や経験を重視した打線、パターンCが年齢や体調不良によるパフォーマンス低下を考慮し、若手を多く起用した打線になっています。
(2021/6/14/修正/パターンCの田中広輔選手を小園海斗選手に変更し、控えに林晃汰選手を追加)
打順分析で述べた通りNPB屈指の打者である鈴木誠也選手の"前後"の打者が鍵になります。"前"の打者は打率の高い西川選手や選球眼のある田中選手を始め、菊池選手や堂林選手ら機動力のある選手を調子に応じて適当に配置して鈴木選手の長打力を最大限に活かせるような打順を組むことが大事です。そして、優秀なリードオフマンでもある鈴木選手の"後"の打者は長野選手や松山選手らベテラン陣に加え、"前"の打者候補でもある西川選手が候補になります。特にチームで2番目の長打力を持ち、伸び代もまだまだ多い西川選手は四番に適任だと思うので、同世代の三番・四番でタイトル争いもできるような充実したシーズンにしてほしいですね。そして中軸以降は會澤選手、坂倉選手の打力の高い捕手陣や上位を外れた試合での菊池選手、堂林選手のパンチ力のあるレギュラー野手陣に加えて外国人選手も控えており、代打陣も併せて恐怖の下位打線が今年も形成されそうです。これらの従来通りのスタメン候補が計算できれば、今年も得点力不足で苦しむことは心配しなくて良いのではないでしょうか。
主力選手がある程度計算できそうなのは良いことですが、中堅層の選手が多いことで守備面での不安は常に付いて回ります。更に近い将来に再び黄金期を迎えるための転換期のシーズンであることも考えると、今季は徐々に三連覇世代から主役をシフトしていくために若手に前進してもらわなければならない年でもあります。2000年世代野手筆頭株の小園海斗選手を始め、昨年支配下登録されて結果を出した中堅手の大盛穂選手や堅守のルーキー遊撃手・矢野選手、大卒2年目の正捕手候補・石原貴規選手は開幕後早くからスタメンも掴めそうなので、レギュラー陣の脅威となる大ブレイクに期待です。彼らの一軍での活躍によって触発された若手野手陣が次々と一軍の舞台で結果を出すような実りある一年にしてほしいですね。
5. 終わりに
以上、2021年の広島東洋カープの戦力分析でした。昨季は佐々岡監督らしく先発のイニング消費を重視したシーズンで、どちらかというと打撃型のチームだった緒方監督時代から明確に路線を変えてきました。やはり投手力が足りなかったために短期決戦をいまいち勝ち抜けず、せっかくの三連覇のインパクトが弱くなってしまったところはあるので、先発とリリーフどちらの事情にも詳しい佐々岡監督に引き継げたのは良い流れと言えるでしょう。既にエース格になっている一昨年の森下投手に加え、昨年のドラフトで即戦力投手を補強したことで滞り気味だった投手陣の新陳代謝もかなり進みつつあるので、三連覇の経験者が元気な今のうちにリーグ制覇と悲願の日本一を達成してもう一度カープフィーバーを巻き起こしてほしいですね。
次回は遂に最終回で、昨季セ・リーグ最下位の東京ヤクルトスワローズの記事になります。それではまた。
6. 参考サイト
- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2020年度版