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【2021年版】東京ヤクルトスワローズ戦力分析

 遂に明日2021年のシーズンが開幕しますね!緊急事態宣言が解除されてからは新規感染者数が上昇に転じておりウイルス対策を意識しなければならない日常はまだまだ続きそうですが、そんな中でも昨年と違って高校野球やプロ野球が有観客で行えるようになっていることをプラスに捉えたいですね。他の娯楽でも眼前の数字だけにとらわれず、数年先を見据えた判断がなされることに期待して、今年もプロ野球観戦を楽んでいきたいです。
 今回は2021年の12球団戦力分析の最終回で、昨年セ・リーグ6位に終わった東京ヤクルトスワローズの戦力分析になります。どうぞご一読を。

 

1. 2020年の総括

シーズン成績

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 昨年のヤクルトは7月までは2位とスタートには成功したものの、打線の得点力が落ちた8月以降は持ち味の乱打戦をものにする勝ち方ができずに得失点差と比例するように順調に借金を増やし5位と12ゲーム差の最下位と前年度よりも成績を大きく落としました主砲のバレンティン選手が移籍し、更にチームの要の山田哲人選手がコンディション不良で成績を大きく落とした影響は勿論ありますが、それ以上にここのところ最下位の年が多い中で育成と外国人補強を怠り、主力選手に大きな負担をかけてきた球団の体質のまずさが際立つシーズンでした。投手陣含めて外様ありきのチーム運営になっているのもかなり良くないと思いますし、ドラフトで指名した前途有望な選手達のためにも、手遅れにならないうちに早急に立て直しに向けた何らかのアクションを起こさなければいけません

投手成績

2020年ヤクルト先発

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 先発陣では、小川泰弘投手が5年ぶりに2桁勝利を挙げ、柱の役割を果たしてくれました。9月末からは調子を崩して成績を下げてしまい規定にも届きませんでしたが、短縮日程の中で離脱無くローテを回してくれただけで監督としては有難い存在だったことでしょう。また、同じくローテ投手としてシーズンを全うし、登板間隔を空けながらもコンスタントに試合を作った高梨裕稔投手が移籍2年目で成績を上げたのも良かったです。一方で他の先発計83試合で防御率5.07、QS率22.9%、13勝36敗と悲惨な内容で、プロチームとしてシーズンを戦い抜く戦力が揃えられていませんでした。チームの大功労者の石川雅規投手は開幕投手は務めましたが流石に衰えが見え、通算の負け越しも迫ってきており限界です。QS率がそこそこで、非QS試合でもそれなりに試合を作ったスアレス投手とルーキーの吉田大喜投手はチーム単位ではましですが、彼らを含めて一軍のローテ投手としての能力と体力が足りていない投手が多すぎます。まともに試合を作れない投手を先発要員として数えなければいけない状況も悲しいですし、将来へ向けて大きな不安を残す厳しいシーズンでした。

2020年ヤクルト救援

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 一方の救援陣最優秀中継ぎ投手を獲得した2年目の清水昇投手やマクガフ投手、梅野雄吾投手、クローザーの石山泰稚投手の勝ちパターン陣がタフに登板をこなし、チームを支えてくれました。特に前年度多くの試合に登板したまだ高卒4年目の梅野投手が離脱しながらも2年続けて結果を出したのが良かったですね。ソフトバンクの育成から移籍一年目で重い役割を任された長谷川宙輝投手も含めて防御率が悪い投手が多いですがこれらのブルペンを支えるタフなリリーフ陣が今のヤクルトの投手力をギリギリ持たせていると言っても過言ではないので、最下位とはいえしっかり評価とフォローをしてあげてほしいです。

 全体としては3年連続で12球団のトップ層に入っている救援登板数にも象徴されるように、イニングを食えない先発陣が救援投手を疲弊させ、更に人材不足が加速するという負のスパイラルに嵌っている非常にまずい状態です。このままではCSはおろかシーズンを無事に送ることさえも厳しくなってきているので、いますぐにでもフロントの刷新を行なってドラフトは勿論、育成環境面などの抜本的な改革をしていかなければなりません。本拠地の狭さを盾に投手力で勝つことを半ば諦めているところもあると思うので、狭いことを有効活用する攻撃面の戦力拡充を滞りなく行い、投手をメンタル面で助けることも常に意識していきたいところです。

打撃成績

2020年ヤクルト打線

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 打撃陣では、高卒3年目にしてリーグトップのOPSをマークした村上宗隆選手の成長が見事でした。前年度に苦手にしていた左投手への対応を変えたことで弱点が無くなっており、加えてほぼスランプなく四番の役割を全試合で果たしたことからも、弱冠20歳にして心技体全てに置いて球界屈指の打者になってきていると言えるでしょう。高卒3年目でここまでの傑出度を示した高卒選手はいないので、歴史に残る選手になっていく過程を見ることができるのがファンとしても嬉しいですね。そして、この村上選手に迫るリーグ2位のOPSをマークしたのが38歳の青木宣親選手です。昨年は少ない試合数ながら本塁打数も増やしており、イチロー氏に最も近づいたレジェンドとしての風格も存分に感じさせられました。村上選手ら後輩への影響も考えると昨年のMVPと言ってもいい活躍だったのではないでしょうか。

 一方で、前述の通り山田哲人選手が勤続疲労の影響か成績を大きく落としたこともあり、全体としては得点とOPSでリーグ5位得点力不足に苦しみました。想定していない事態だったので多少は仕方のない面もあるものの、やはりコロナ禍で外国人枠が増えた中で外国人野手が守備型のエスコバー選手だけというのが良くなかったですね。そのエスコバー選手も肝心の守備面で衰えを感じさせる場面が多く、かつては優れていた外国人発掘力の衰えも改めて感じさせられました。このうえ他の日本人選手でも期待以上の働きを見せたと言えるのは塩見泰隆選手くらいで、リーグ優勝以降は野手育成サイクルの停滞ぶりが深刻化しつつあるのも非常に心配です。前年度怪我でシーズンを棒に振った坂口智隆選手が復活したのは良かったのですが、体力面の配慮が大事なベテラン選手をここまで打席に立たせるのもおかしいですし、終盤の不可解な打順や起用法も含めて現場とフロントとの間のいざこざも疑いたくなるようなファンを不安にさせる一年でした。フロントはこの状況を把握しているはずなので、直ちに方針転換して健全な球団運営ができるような体制に戻していかなければなりません

 

2. 打順分析と相性分析

 この節では毎回、少し変わった視点から見た2つのデータを見ていきます。

打順分析

 一つ目は打順分析です。出塁率(OBP)長打率(SLG)に加え、選手の得点貢献度を示すHPRP( 得点関与数[得点 + 打点 - 本塁打]/打席)を各打順ごとの平均と比較することで、リーグの平均的な打線と比べて、代打も含めて各打順にどのようなタイプの打者が置かれ、どのような仕事をしていたかを見ていきます(HPRPを使った経緯は以前の記事参照)。なお、このデータは簡単にパークファクターも反映したものになっています。

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 打順下の選手名はその打順にスタメンで置かれた上位2選手(8割以上スタメンで出ている場合はその1選手のみ表示)になっています。OBPgap青棒)、SLGgap橙棒)、HPRPgap灰棒)は各打順における各指標のリーグ平均との差を示しています。

 青木選手と村上選手が入った二番から四番は指標がプラスになっており、不調だった山田選手も含めて平均を上回る選手を置けています。特にリーグの名だたるスラッガーが四番に入っている中で、出塁率、長打率ともに突出していた村上選手が素晴らしいですね。一方で、野手が入る他の打順は指標と得点貢献度ともに平均を大幅に下回っており野手陣の戦力不足をまざまざと実感させられるデータになっています。問題は山積していますが、目下の課題は一番打者と中軸の長打力なので、既存の選手と新戦力を正しく競争させて新陳代謝を促すフロントの努力が不可欠です。次の年以降も同じ感覚なら未来は無いと思って意識改革を徹底してほしいですね。

相性分析

 もう一つのデータは対戦チームごとの相性分析になります。私が作った指標も使っているので、表で使っている各指標について補足説明をしておきます。

QS% : 先発投手のクオリティスタート(6回以上投げて自責点3点以下)試合の割合
QSP : QS試合における貯金;左横のW、L、DはQS試合における勝敗を示す
QR/G : 一試合あたりのクオリティリリーフ* ; 救援投手のリリーフ精度を示す
※ クオリティリリーフ[QR]とは、以前の記事でまとめた救援投手の"リリーフ成功率"を反映した指標で、成功率が80%を超えるとプラス、下回るとマイナスになるようになっている
aQS% : 相手先発投手からの被QS回避率 ; 打線が相手先発投手をどれだけ攻略できたかを示す
aQSP : 相手先発投手からの被QS回避試合における貯金;左横のW、L、Dは被QS回避試合における勝敗を示す
aQR/G : 相手救援投手からの被クオリティリリーフ回避の試合平均 ; 相手救援投手のQRに-1をかけた数値になっている ; 打線が僅差の展開で相手救援投手をどれだけ打っているかを示す
SBI/G : 自チームの一試合あたりの赤星式盗塁*から相手野手の一試合あたりの赤星式盗塁*を引いた数値 ; 攻撃時の野手の盗塁技術と守備時の盗塁阻止技術を併せた指標
※ 赤星式盗塁 = 盗塁 - 盗塁死 × 2

aEI/G : 相手野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値から自チーム野手の一試合あたりの失策数と失策による失点*の合計値を引いた数値 ; 守備力ではなく、エラー回避能力を示す
※失策による失点は、投手の失点から自責点を引いた数字

 これらの指標を使って勝敗や得失点差に加え、投手や打線の各対戦チームに対する相性や盗塁、エラーの対戦チームごとの傾向を見ていきます。

2020年ヤクルト相性分析

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 平均よりある程度高いか()、平均程度か()、低いか()で色分けしています。どのチームに対してもQS率が非常に低く先発不足でプロチームとして当たり前の戦い方ができる状態にありません得点の入りにくいナゴヤドームや甲子園でも5回すら投げられていない先発が多いことから、狭い本拠地を言い訳にするような時期はとっくに過ぎて極めて深刻なフェーズに入ってきていると言っていいでしょう。また、QR/Gも低く勝ちパターンのリリーフ精度も悪いことが分かりますが、これは最低限の役割も果たせていない先発陣の後始末をさせられる負担を考えると可哀想なところが多いのでやはり課題は先発陣です。野手陣の層も薄くなってきており苦しい状況ですが、大胆なトレードも積極的に敢行して血の入れ替えを行い、なんとか正常にシーズンが送れる状態に戻していくことが低迷期脱却のための第一関門になっています。

 

3. シーズンオフの選手の動きと新外国人分析

オフの選手の動き

【2020-2021】ヤクルト主な入退団

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 厳しいシーズンの末迎えた昨オフは投手陣を中心にベテランを大量に構想外にし、フロントとしても今の状況を重く見ていることを窺い知ることができました。最後までスタメンで起用していたエスコバー選手を見切り、ファンを安心させたのも良かったですね。

 一方のドラフトでは、目玉の早川投手は外したものの木澤尚文投手、山野太一投手という即戦力大学生を上位で指名し、更に課題の遊撃手としては元山飛優選手を獲得するなどチームの弱点を補う指名ができていました。大卒以上の選手は一年目でも出場機会を得やすいチーム状態なので、怪我には気をつけながら自分が屋台骨になるくらいのつもりで頑張ってほしいです。
 更に外国人では、先発候補のサイスニード投手主軸候補のドミンゴ・サンタナ選手とホセ・オスナ選手に加え、ソフトバンクを自由契約になっていたリック・バンデンハーク投手を獲得し、戦力を大幅に拡充しました。特にサンタナ選手はメジャーで30本塁打の経験があり、久々に大活躍しそうな大砲を獲れたので、これを機に変わっていってほしいですね。

 この他、他球団からはソフトバンク黄金期の立役者である内川聖一選手を始め、前日本ハムの宮台康平投手や前楽天の近藤弘樹投手(育成選手として獲得)らを補強しています。これに加えて、今月になって将来の正遊撃手筆頭候補だった廣岡大志選手と巨人のローテ候補の田口麗斗投手とのトレードを敢行し、先発陣の層を例年より厚くした形になりました。

 そして、何よりヤクルトファンを安心させたのが国内FA権を持っていた山田哲人選手、小川泰弘投手、石山泰稚投手というチームを支えてきた主力選手が大型契約を結んで残留したことでしょう。小川投手の発言にもあるように、選手間の結束力の高さやヤクルトという球団の居心地の良さが決め手になったように思います。ただコロナ禍で他球団が高額なFA選手に手を出しづらかったという側面もあると思うので、そこはしっかり認識して残ってくれた選手が良い成績を残せるような環境整備を今後も続けていかなければなりません。とはいえ、以上のように久々にフロントのモチベーションが見えるオフになっており、なんとかシーズンを送れる体制は整えてきたという印象です。

新外国人分析

 この項では、今年からNPB入りとなる選手の過去の成績を見ていきます。ヤクルトが獲得した3選手は緊急事態宣言による入国規制のため未だ来日の目処が立っておらず、開幕にも間に合わないことが濃厚ですが、一応早いうちに一軍に合流する想定で分析します。

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 サイスニード(本名Cy R. Sneed)投手は平均150km/h弱のカットボールとフォーシームで三振を量産する威勢の良いピッチングを持ち味とする長身右腕です。メジャーではリリーフとしての出番しかありませんでしたが、2018年はアストロズ傘下3Aラウンドロック・エクスプレスで20試合に先発して110と1/3イニングで防御率3.83、奪三振率8.56という成績を残しており先発としても十分な奪三振能力が期待できます課題は被長打率の高さ狭い神宮球場でも長いイニングを投げ抜くためには制球面などのレベルアップが不可欠ですが、うまく進化を遂げて先発陣の大黒柱となる飛躍に期待したいですね。

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 サンタナ選手は2017年にナ・リーグ18位のwRC+(1打席あたりの得点創出の多さを示すセイバーメトリクスの指標)をマークした高い打撃力が自慢の右の大型外野手です。2019年にもマリナーズで21本塁打を打っている長打力に加え、四球率も10%強と選球眼もあることからNPBでも早い時期から結果を出すのではないでしょうか。ただ両翼を中心に守ってきた守備が特に守備範囲の面で評価が低いのが難点防御面でのマイナスを攻撃力で巻き返すバレンティン選手のようなタイプと言えるでしょう。他のポジションの経験もなく起用面での不安はありますが、そんな心配も杞憂に終わるような実力を示して村上選手とともにホームランを量産してほしいですね。

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 オスナ選手は一塁と右翼をメインに左翼手や三塁手としての出場経験もあるユーティリティ性の高い右打者です。2019年にはパイレーツで285打席で10本塁打、OPS.766をマークした一定以上の打力もあり、サンタナ選手と同様に中軸としての起用が予想されます。四球率はそれほど高くないものの空振り率が低くミートセンスはありそうなので、打者有利の神宮球場を本拠地とすることによる強打者への変貌も期待できるのではないでしょうか。フロントが想定している三塁手に攻守に平均以上の選手が入ることのアドバンテージはかなり大きいと思うので、チームの救世主となる活躍に大いに期待です。

 

4. 2021年の予想布陣

 最後に今シーズンの予想布陣を見ていきましょう。 投手、野手ともに昨シーズンの成績と一軍実績や年齢、最近の二軍成績や記事をもとに、今年の陣容を考えてみました。実績があっても怪我や未入国のため計算できない選手もいるため、選手の背景色によって選手の状態(ほぼ異常なしと思われる選手故障の影響が大きいと思われる選手灰色未合流の選手キャンプ開始時点で育成契約の選手)が分かるようにしています。年齢や怪我の状態を考慮して実績があっても載せていない選手もいますが、その点はご了承ください。

投手陣

2021年ヤクルト投手予想布陣

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疲弊度は、以前の記事でまとめた昨シーズンの"勤続疲労"を示す指標で、登板間隔が短く投球数が多いほど大きくなります。

 先発陣は、エースの小川投手と2番手を任されるであろう新加入の田口投手が軸になります。田口投手は巨人ではここ数年先発として結果を残せないシーズンが続いていましたが、チームが変わって実績豊富な選手に脅かされない状況に置かれることでメンタル的に余裕も生まれると思うので、かつての輝きを取り戻してほしいですね。宣言残留したことで責任感も増した小川投手と2人で長いシーズンのローテを守り切り、規定投球回も見えてくるようになれば近年のような大崩れはせずに済むのではないでしょうか3番手以降はシーズン通して見通しが立つ投手はいませんが、有力候補である高梨投手やスアレス投手は昨年の投球をもっと長く続けられるような準備をして救援陣の負担をできるだけ減らしてほしいですね。そして次の時代へ繋いでいくためにも台頭が待たれる若手の候補としては、ローテ経験のある高橋奎二投手を筆頭に木澤投手と山野投手のルーキー勢、4年目の金久保優斗投手や2年目の奥川恭伸投手がおり、残りの2〜3枠を争うことになります。途中加入のバンデンハーク投手とサイスニード投手もある程度成績を残しそうではありますが、石川雅規投手と小川投手に続く生え抜きエースが出てこない限り低迷期を脱することは不可能だと思うので、年齢に関わらず大成長を見せる投手がこの中から出てきてほしいです。

 救援陣は、クローザーの石山投手と清水投手、マクガフ投手、梅野投手で組む勝ちパターンが今年も中心になります。石山投手が残留したことで配置転換の必要が無いのは良いですが、7回を任されるマクガフ投手と梅野投手の二人はここ2年でかなりの試合数に登板しているため、勤続疲労による離脱も懸念されます。ここは、長谷川投手や昨季終盤に結果を出した今野龍太投手、オープン戦では中継ぎで調整している吉田大喜投手ら一軍の場数がまだ少ない投手陣が後ろの回を任されるくらいの安定感を見せてカバーしてほしいですね。今年は9回打ち切りで例年以上に勝利の方程式の精度が求められるので、リードした展開を確実に勝ちに繋げるための首脳陣の臨機応変な勝ち継投の切り替えにも期待したいです。

野手陣

 野手陣は、昨年の成績をもとに3パターンの予想打線を組みました。パターンA昨シーズンの最も良い時の打線をベースにした理想打線パターンB二年目のジンクスを考慮し、昨シーズンブレイクした選手を除いて実績や経験を重視した打線パターンC年齢や体調不良によるパフォーマンス低下を考慮し、若手を多く起用した打線になっています。

2021年ヤクルト野手予想布陣

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 7年契約を結んで残留した山田哲人選手と村上選手、青木選手が今年も中核になります。山田選手は昨年レギュラー定着後初めて規定も逃し身体の状態も懸念されていますが、30代に迫るシーズンで心機一転『ミスタートリプルスリー』からのモデルチェンジも試みてもう一度本塁打王を取れるくらいの素晴らしい成績を期待したいです。リーグ屈指の出塁率が期待できる山田選手が復活すれば後を打つ青木選手と村上選手の打点も自然と増えていくと思うので、ヤクルトを象徴するこの3人でOPS争いもできるような明るい年にしてほしいです。

 この3人に続く打者として期待したい生え抜き選手が塩見選手になります。盗塁もできる塩見選手が一番打者として一皮剥ければ球界屈指の中軸を最大限に活かせるので、彼の更なる成長が今年のチームの命運を握っていると言っても過言ではありません。同じく長打力に優れた高卒3年目の濱田太貴選手とともに、外国人選手がスタメンに入る中盤以降もポジションを渡さないくらいのつもりでチームを牽引する活躍に大いに期待です。生え抜きでは守備的に重要なポジションで一定の打力を期待できる西浦直亨選手や中村悠平選手、西田明央選手の捕手陣の打力向上も欠かせません。特に西浦選手が離脱なく遊撃と三塁をこなすことが得点力不足解消の一番の近道だと思うので、宮本丈選手や元山選手ら若手にポジションを取られないように頑張ってほしいですね。あとは終盤の代打としても欠かせない中山翔太選手の一軍定着にも期待です。攻守に成長して、終盤にはクリーンナップの後ろに定着できるくらいの充実したシーズンにしてほしいです。

 これらの生え抜き陣が成績を残し、ベテランの内川選手や坂口選手を代打や要所のスタメンで起用できるようになれば次の時代へ繋がる良いシーズンだと言えるでしょう。サンタナ選手とオスナ選手が合流した後にAクラスへ向けてチャージをかけられるような順位を維持して、持ち前の乱打戦を制するヤクルトが得意とする野球も回帰させて台風の目になってほしいですね。

 

5. 終わりに

 以上、2021年の東京ヤクルトスワローズの戦力分析でした。昨年監督として指揮を執る難しさを実感した高津監督の二季目は、数年先の将来を担う若手を見出していかなければならない重要なシーズンになります。FA選手が流出しなかったことで比較的余裕を持って若手に一軍の場数を踏ませられるのは凄く良かったことなので、これから野球界が変わっていっても選手に愛想を尽かされないようなアットホーム感とプロとしての厳しさのバランスの取れたチームを目指して負け癖を無くしていってほしいです。延長戦が無い今年は後ろの回の采配次第で少ない勝利数でも順位を上げられるシーズンでもあるので、他球団が舐めてかかってくる隙に上位を固めてあわよくばリーグ優勝も狙えるようなマジックを見せてほしいですね。

 これで今年度もようやく全12回に渡る戦力分析の記事が完了しました。データ量を増やしたことで投稿ペースが遅くなってしまいましたが、満足できる出来だったでしょうか。後半になるにつれて参考データの量を増やしたのでパ・リーグファンの方は少し物足りなかったかもしれませんが、今年もこうやって各球団の現状を知れて個人的には満足しています。

 来年以降も戦力分析を続けていくかどうかは未定で次の記事を上げるモチベーションが生まれるかどうかも未定ですが、過去の記事を書き直したりはすると思うのでまた思い出した時に立ち寄ってみて下さい。それでは今年もプロ野球観戦を楽しみましょう!

 

6. 参考サイト

プロ野球 - スポーツナビ

NPB.jp 日本野球機構

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2020年度版

データで楽しむプロ野球

2020年12球団パークファクター - 日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog

FanGraphs

Baseball Savant