北京五輪で色々と盛り上がっていますね。冬季五輪に多い採点競技は自然条件や身体的な差異による不平等を埋めるために補正をかけたりしているので、今でも採点に苦心しているようで大変そうですね。世界でトップ3に入らなくとも様々な境遇を持つ他の選手や自分自身と価値観を共有できるのがスポーツの醍醐味だと思うので、メダルの色や有無、ファンの反応で一喜一憂し過ぎるのは少しだけにして競技人生を楽しんでほしいところです。
今回は2022年の12球団戦力分析の第二回で、千葉ロッテマリーンズの記事になります。どうぞご一読を。
1. 2021年の総括
まずは基本的な勝率推移や各選手の個人成績を見ながら昨シーズンを振り返っていきましょう。
シーズンの流れ
昨年のロッテは51年ぶりの優勝マジックを点灯させるなど球団史に残る戦いぶりを見せたものの、オリックスにあと一歩及ばず二年連続の2位に終わりました。14年ぶりに.540を超えた勝率にも表れているように近年最高のシーズンだったのですが、東京五輪による選手の離脱が12球団で唯一無かった上、マーティン選手、レアード選手というリーグトップレベルの外国人野手を二人も揃えていた中で最高の結果を出せなかったという意味では悔しさの方が勝るシーズンだったと言えるでしょう。ただリーグ優勝のために中継ぎを総動員させたりはしておらず、あくまで若手育成に重きを置いた一年だったので、優勝を逃したショックがそれほど大きくなさそうなのは救いでしょうか。何より近年のドラフトで有望選手のくじを引き続け、世代を代表するスター選手を軸にした戦力整備が進められているのは他のどの球団にも無い長所で、指導力のあるコーチ陣を次々と引き抜いているところも含めて求心力の強い井口監督のもとでの球団改革の成果が表れていることが窺えます。主力陣の世代交代が迫られている中で佐々木朗希投手を始めとするプロスペクトが良い緊張感の中で一年間を経験できたことは今後長いスパンで効いてくると思うので、黄金期を目指す今後に向けた明るい材料が多い一年でした。
投手成績
先発陣は大黒柱であった石川歩投手の故障離脱と移籍2年目の美馬学投手の成績低下のために半ば強制的に若手主体のローテを組むことを余儀なくされ、やや苦しみました。しかし、終盤には他球団のエース級の投手に負けない投球を見せて大きく成長した小島和哉投手を筆頭にキャリアハイの成績をマークした岩下大輝投手、次世代のNPBの顔としての実力の片鱗を存分に見せてくれた佐々木朗希投手ら有望な若手投手陣が結果を残したことを考慮すると、過渡期としては上出来な成績だったと言えるでしょう。これに加えてルーキーの鈴木昭汰投手および河村説人投手、途中加入の元中日・ロメロ投手もローテとしての役割をしっかり果たしており、こうした新戦力発掘への本気度からも今後長い黄金期を築き上げようとするフロントの気概も窺うことができました。一方、若手の中で最もローテ経験のある二木康太投手が今ひとつ安定せず、チームに勢いを付けられなかったことは反省点なので、年齢の近いライバル達に負けないように自信を取り戻してほしいですね。
救援陣は合計登板数をリーグ4位と抑えながら、ホールド数とセーブ数でリーグトップと理想的な運用ができていました。中でもブルペン陣の精神的支柱である益田直也投手が通算600登板に迫る中、キャリアハイの成績を叩き出したのが素晴らしかったですね。引き分け時に最後の投手として試合を締めた登板も含めるとリリーフとして仕事をした試合数は両リーグトップの58試合に昇っており、チームのMVPと言って申し分ない大活躍でした。5年目にして開花を見せ、セットアッパーに定着した佐々木千隼投手と組んだ8・9回の安定感はリーグ随一のものだったと言っていいでしょう。他にもハーマン投手の衰えや唐川侑己投手の故障離脱などアクシデントにも見舞われながらも、トレードで獲得した国吉佑樹投手や小野郁投手を巧みに起用して戦力低下を感じさせなかったブルペン整備の上手さも見事でした。吉井投手コーチのもとで現代的かつ従来のNPBの長所も盛り込んだ投手の起用法が確立されてきていると思うので、更なる高みを狙う次のステップでも活かしていってほしいですね。
打撃成績
野手陣は得点数リーグ1位、OPSリーグ2位(1位ソフトバンクと1’糸’の差)と健闘しました。前年は腰椎間板ヘルニア手術のために振るわなかったレアード選手の復活が非常に大きく、他球団が主力野手の入国規制に苦しんだ中でマーティン選手と併せてリーグ屈指の外国人を2枚揃えられたのが良かったですね。派手な遊撃守備で注目されたエチェバリア選手も加えた外国人野手の打点数はダントツの12球団トップで、外国人補強の手堅さによって攻撃面での優位性を保てていたことが分かります。日本人野手でも、36歳にして初の全試合出場を果たした荻野貴司選手と不動の二塁手として攻守にチームを支えた中村奨吾選手がキャリアハイの成績を残し、出塁能力でも安定している二人がいることで常に安定した上位打線を組むことができていました。7・8月の月間MVPを取って大器の片鱗を見せた藤原恭大選手や4年目にして攻守に成績を向上させた藤岡裕大選手の成長も目をみはるものがありましたね。
一方、日本人野手全体で見るとOPS.800を超えた選手がリーグで唯一おらず、少々物足りませんでした。これに関しては鈴木大地選手のFAや井上晴哉選手の不調などで経験を積んだ中堅層の選手が不足しているのがかなり利いており、井口監督体制になって世代交代を進める中でやや煽りを食ってしまったきらいがあることは否めません。とはいえ、その中で出番を与えられている若手選手がもう一つ結果を出せていないのは問題です。特に前年度から四番も任され期待されている安田尚憲選手が終盤には藤岡選手にサードを明け渡してしまい、なかなか殻を破れていないのはもどかしいですね。サードに一定の長打力のある絶対レギュラーが固定できれば外国人補強もしやすくなり、高い勝率を維持しやすくなると思うので、高卒3年目で9本塁打と健闘した山口航輝選手や佐藤都志也選手、藤原選手ら歳の近い選手達と切磋琢磨して頑張ってほしいところです。正捕手の田村龍弘選手の故障離脱が多くなったことで打撃面の穴になっている捕手陣なども含め常勝球団を目指すためにはまだまだ課題も多いので、気を抜かずに戦力整備を続けてほしいですね。
2. データで覗く2021年
ここでは、各チームの起用法や環境の違いに着目したデータを見ていきます。今年は従来の「打順分析」と「相性分析」に加え、「登板間隔」や「救援登板数と連投」に関するデータを追加してみました。
先発投手の登板間隔とスタート評価
まずは先発ローテの登板間隔ごとの成績評価についてのデータです。ここでの登板間隔は救援登板も含む前登板日から登板日までの間の日数を指しています。以下の解説にあるように先発の登板をHQSとHQS以下のQS(NQS)、最低限のスタート(modS)、その他(fS)に分け、各登板間隔ごとの特性をまとめました。
【用語解説】
HQS(High Quality Start) : 7イニング以上投げて2自責点以下の登板
NQS(Normal Quality Start) : 6イニング以上投げて3自責点以下で、HQSには該当しない登板;HQS以外のQS
modS(moderate Start) : 5イニング台かつ3自責点以下の登板、または6イニング以上かつ4自責点以上の登板 ; 先発として(筆者が思う)最低限の仕事をした登板
fS(failed Start) : HQS、NQS、modSいずれにも該当しない登板
QS% : NQS以上の登板の割合 ; 平均50%程度 modS% : modS以上の登板の割合 ; 平均70%程度
sIN/6.0 : 平均イニングを6で割った値の百分率 Pitch/100 : 平均投球数を100で割った値の百分率
シーズンを通してほぼ「中6日」以上をキープしており、登板間隔を詰めた期間はありませんでした。ここでも吉井コーチ主導で負担をかけない起用を徹底した結果が表れていると言えるでしょうか。先発として最低限の仕事をした割合を示す『modS%』は登板間隔によらず高く、打線が仕事をすれば勝利をもぎ取れる陣容を整えられていたことが分かります。一方、リーグトップだった「中10日以上」登板間隔を空けた試合の多さとそのQS率の低さから一軍レベルのローテの枚数という点では上位球団にやや劣っており、ローテ整備自体には苦慮していたことも窺えます。いつ本格的な衰えが来るか分からないベテラン陣や外国人が抜けた際に同等以上の役割を果たせる若手投手の育成と発掘が今後も欠かせません。
救援投手のリリーフ精度と連投度合いの推移
次は救援投手への負荷についてのデータになります。救援登板数および連投起用の多さを図る連投ポイント(以下解説参照)という指標をもとに、主要救援投手8名の連続7日間(試合数が2試合以下の期間は除外)の連投ポイントの推移を見ていくことでシーズン中のリリーフ起用の傾向を見ていきます。なお、主要救援投手8名は救援時の貢献度を示すrKD(救援登板時の小松式ドネーション)で選出しました。
グラフを簡単に説明すると、面グラフの青の部分が救援登板数を示し、それを超える赤の部分が大きいほど連投が多い時期ということを表します。先発が平均で5~6イニング消費することを考えると青の部分は3.0以下、赤の部分は青プラス1.0以下の状態が望ましいと考え、面グラフに対応する左軸の4.0のラインにボーダーラインを引いています。また、折れ線グラフに対応している右軸のQRはリリーフ成功率の良し悪しを示しており、グラフがボーダーを割ってマイナスになっているところはリリーフ精度が悪かった時期ということになります。
【用語解説】
救援登板数/G : 連続7日間の一試合平均救援登板数
超過連投pt/G : 連続7日間の登板数を超過した連投pt*の一試合平均 ; 期間中の連投起用の多さを示す
QR : クオリティリリーフ*;リリーフ成功を示す記録(HP、S、引分完了)からリリーフ失敗(ブロウンリリーフ)の4倍を引いたもので、救援陣のリリーフ精度を示す
※連投pt:日数を基準として1連投目の登板に1pt、2連投目の登板に2pt、3連投目の登板に3ptというふうに各登板に重みをつけたものの合計値
※クオリティリリーフも含めた指標の詳細については以前の記事(⇒リンク)参照
前半は明確に登板数制限を設けていたためか登板数、連投数ともに抑えられており、吉井コーチの取り組みの成果が出ています。後半からはボーダーを超える期間が増えておりリリーフに負担がかかっていますが、半世紀ぶりのリーグ優勝がかかっていたのである程度は仕方ないと言えるでしょう。連投が多かったのも益田投手始め経験豊富な中堅以上の投手がほとんどで、どうしても登板数がかさむ中で次のシーズン以降に大きな影響を残さない登板数管理を徹底していることが窺えました。何よりリリーフが大きく崩れた期間が少ないのが良いですね。
打順分析
次は打順分析です。昨年と同様に簡単にパークファクターも反映し、出塁率(OBP)、長打率(SLG)、得点貢献度(RRP=(得点+打点)/(打席+代走起用)*)を各打順のリーグ平均と比較することにより、リーグ平均的な打線と比べ各打順にどのようなタイプの打者が置かれ、どのような仕事をしていたかを見ていきます。昨年は代打なども各打順に入れていましたが、今年は代打などの途中出場の打者は別にしています。
※昨年まではHPRP=(得点+打点-本塁打)/打席という指標を使用していましたが、得点貢献度を示す意味では本塁打を過小評価するのは不適切と判断し、単純に得点と打点の和を打席数で割ったものをRRP(Run and Run batted in Participation)として使用しています。
打順下の選手名はその打順にスタメンで置かれた上位2選手(8割以上スタメンで出ている場合はその1選手のみ表示)になっています。OBPgap(青棒)、SLGgap(橙棒)、RRPgap(灰棒)は各打順における各指標のリーグ平均との差を示しています(リーグ平均についてはグラフ下の「切り替え」ボタンで参照ください)。
荻野選手が全試合で座った一番打者の指標が全て大きくプラスとなっており、36歳にしてリードオフマンとしての真価が存分に発揮されたことが分かります。マーティン選手と調子の良い時期の藤原選手が座った二番、出塁能力が高い中村奨吾選手が座った三番と合わせると非常に有効な上位打線が組めていたと言えるでしょう。しかし、特にクリーンナップで目立つように長打力が足りず、出塁の多い上位打線を十分に活かしきれませんでした。ベテランの域に入ってくるマーティン、レアード両選手に頼れるシーズンは残り少ないと思うので、二人が去ったことのことを考えて補強と育成を継続していくことが重要です。ほぼ全ポジションでチャンスがある状態なので、安田選手・山口選手を筆頭に若手陣の発奮に期待したいですね。
相性分析
最後は相性分析になります。昨年とは少し趣向を変え、対戦相手別の試合を「QS試合」、「1点差以内の試合」、「本拠地での試合(ビジター開催も含む)」、「本拠地以外での試合」に分け、勝率と得失点状況を見ていきます。勝ちパターンの精度を図る『QR/G』、盗塁と盗塁阻止における優位性を図る『SBI/G』、失策時の得点面での優位性を図る『aEI/G』については昨年と同じで、勝率や得失点はリーグ平均よりある程度高いか(赤)、平均程度か(緑)、低いか(青)で色分けしています。
目立つのはQS勝率の高さで、どの球団に対しても高い効率でQS試合を勝ち取っています。やはり勝ちパターンが安定しており、リード時の7回以降の継投に悩まなくて良かったのが大きかったですね。ビジター勝率もリーグトップで、苦手チームを作らない上位チームの戦い方ができていました。一方でホームゲームでは得点数は高かったもののそれ以上に失点してしまっており、やや打高気味だった昨年のZOZOマリンスタジアムを味方にできなかったのは反省点です。狭い球場ほど投手力の差が顕著に出てしまうので、若手先発陣を中心に戦力の底上げが今後も欠かせません。
3. シーズンオフの選手の動きと新外国人分析
オフの選手の動き
ドラフトは1位に強打の高校生捕手・松川虎生選手、2位に"千葉県生え抜き"の即戦力大卒内野手の池田来翔選手と上位で現在弱点となりつつあるポジションの次世代野手を確保し、野手陣の世代交代を強く意識した指名となりました。打撃がリーグ最低レベルの捕手、若手の台頭が遅れている内野は年齢によらず一年目からチャンスがあると思うので、一試合でも多く一軍で起用されるようアピールしてほしいところです。また、投手を指名した3位以降では社会人ナンバーワン投手の廣畑敦也投手に加え、補強ポイントの左腕として高校生の秋山正雲投手、即戦力としての期待もかかる八木彬投手とビジョンが明確な補強をしており、再びリーグ優勝を狙う次年度以降に向けた意気込みが垣間見えるドラフトでした。
新外国人のゲレーロ投手は現時点で来日していませんが、簡単な経歴を見てみましょう。
タイロン・ゲレーロ投手は最速104マイル(約167.3km/h)、平均球速159km/hの超スピードボールを最大の武器とする勝ちパターン候補の長身右腕です。投球の70%以上を占めるMLBでも屈指の角度の付いた直球は空振り率も高いものの、スライダーなど変化球も含めた制球が非常に悪く、類まれな豪速球をほとんど活かしきれていません。残塁率が一貫して低くランナーを出した時の対応にも問題があると見られ、暴投や与死球も多いことから活躍するためには課題が山積していますが、環境とボールが変わってストライクゾーン周辺に制球できるようになれば一気に守護神候補にもなると思うので、早く来日して日本の野球に馴染んでほしいですね。
高齢のハーマン投手とフローレス投手以外の既存外国人は残留しており、主力野手3人(レアード選手とマーティン選手は現時点で未入国)と先発のロメロ投手はおそらく開幕から期待できると思われます。外国人選手がしっかりしているという最大の強みをより活かすためにも若手生え抜き野手の更なる奮起に期待したいですね。
4. 2022年の予想布陣
最後に今シーズンの予想布陣を見ていきましょう。 投手、野手ともに昨シーズンの成績と一軍実績や年齢、最近の二軍成績や記事をもとに、今年の陣容を考えてみました。実績があっても怪我や未入国のため計算できない選手もいるため、選手の背景色によって選手の状態(赤はほぼ異常なしと思われる選手、青は故障の影響が大きいと思われる選手、灰色は未合流の選手、緑は育成契約の選手)が分かるようにしています。年齢や怪我の状態を考慮して実績があっても載せていない選手もいますが、その点はご了承ください。
投手陣
投手陣は先発、中継ぎそれぞれ12人ピックアップしています。「疲弊度」は以前の記事でまとめた投球数と登板間隔をもとに昨シーズンの負担の大きさを表したオリジナル指標です。二軍戦など一軍公式戦以外の負担は反映しておらず決して現実に即したものではありませんが、参考程度に載せています。
先発陣はローテ定着3年目を迎える小島投手と昨年術後の状態が良好だった石川歩投手、そして次世代の顔である高卒3年目の佐々木朗希投手が軸になるでしょう。3人とも昨年後半戦からの数字が非常に良く、規定に到達してタイトルも狙えそうな気配があるので、三本柱揃って2ケタ勝利を達成するような飛躍に期待です。四枚目以降にも岩下投手、美馬投手、二木投手、ロメロ投手と先発としての経験が豊富な投手を揃えており、この中から一人でも規定到達投手が出れば昨年を大きく超える数字が出ることは間違いないのではないでしょうか。岩下投手と昨年苦汁をなめた二木投手には特に期待したいところです。更に今年は一昨年にトミージョン手術を受けた西野勇士投手と種市篤暉投手という優秀なローテ投手が本格復帰しており、彼らと若手投手が谷間と後半戦で効果的な仕事をすれば、リーグトップの先発陣となることも十分ありえます。"10勝セクステット"を再び形成できるような飛躍のシーズンとしたいですね。
救援陣は今年もクローザーの益田投手とセットアッパーの佐々木千隼投手に7回を託す唐川投手と国吉投手、タフネス右腕の小野投手が中心になるでしょう。昨年キャリアハイの成績をマークした益田投手は特に疲労が溜まっていることが予想されるので、佐々木千隼投手や小野投手といった次世代のクローザー候補が益田投手の代わりもこなせるような成長にも注目です。勝ちパターン候補の新戦力としては廣畑投手、八木投手のルーキー陣やゲレーロ投手もいますが、左投手が全くいないのは気になるので、先発候補でもありますが個人的には鈴木昭汰投手、中村稔弥投手の両左腕に期待したいです。新しい若手投手を抜擢して継投のパターンを増やしつつ、益田投手に繋ぐ方程式が盤石であれば、今年も上位は堅いでしょう。
野手陣
野手陣は、昨年の成績をもとに3パターンの予想打線を組みました。パターンAが昨シーズンの最も良い時の打線をベースにした理想打線、パターンBが二年目のジンクスを考慮し、昨シーズンブレイクした選手を極力除いて実績や経験を重視した打線、パターンCが年齢や体調不良によるパフォーマンス低下を考慮し、若手を多く起用した打線になっています。
入国が遅れているマーティン選手とレアード選手の状態が問題なければ、パターンAやパターンBのような打順が基本になります。荻野選手は37歳になりますが、3度目の規定打席を達成できるような活躍に期待です。荻野選手が離脱したり、マーティン選手とレアード選手が大幅に成績を落とすようなことが無ければ、例年通りの一定の得点力は期待できるでしょう。この上位打線を最大限に活かすためには下位からのリンクも大事になってくるので、藤岡選手や田村選手ら下位打線を任せられる主力選手は打撃面で例年以上に頑張ってほしいところです。
ただ身体的にはピークを過ぎたレギュラー陣に重い打順を任せている状況はいつまでも続くことはないので、近い将来の世代交代を見越した若手野手の成長が例年にも増して必要不可欠になります。2年間一軍の経験を積んだ安田選手とプロスペクトの山口選手は勝負の年になるので、外国人を押しのけてクリーンナップに名を連ねるくらいのブレイクが求められます。特に安田選手は同じポジションにルーキーの中軸候補・池田選手が加わることでアピール機会が減ってしまう可能性もあるので、経験を胸に少ないチャンスをものにしたいところです。昨季終盤は捕手としてのスタメンが減ってしまった佐藤都志也選手も高卒1年目にして既に評価の高い松川選手の加入で激化した捕手争いを生き抜くための試練の年になるので、攻守にレベルアップしてほしいですね。昨年は月間MVPを獲得した藤原選手もシーズンを通した身体のコンディション調整にまだまだ課題を残しているので、和田康士朗選手や育成2年目の有望株・山本大斗選手といった同じポジションの選手に負けないように頑張ってほしいです。
どの打順でも上位打線に据わるチームリーダー・中村奨吾選手が攻守に昨年と同等かそれ以上の成績を残すことがリーグ優勝に向けた最も重要なところになります。出塁能力は十分ですが長打力がやや物足りないので、今年はチーム打点王争いもできるようなポイントゲッターとしての役割にも期待したいですね。彼と非常に若い次世代の主軸陣で内野を形成できれば、リーグ優勝とその先の黄金期へ向けた歴史的なシーズンになるでしょう。"三度目の正直"を固く期する井口監督の集大成のシーズンに大注目です。
5. 終わりに
以上、2022年の千葉ロッテマリーンズの戦力分析でした。URLをいじったりしたのでアクセス数が下がってしまいましたが、自分の備忘録的な意味合いもあるのでとりあえずこの調子で残りの10回も書いていくつもりです。次は昨季パ・リーグ3位の東北楽天ゴールデンイーグルスの記事になります。それでは多分また。
6. 参考サイト
- nf3 - Baseball Data House Phase1.0 2021年度版
1.02 - Essence of Baseball | DELTA Inc./Glossary