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2024年前半戦 プロ野球振り返り

今年も酷暑の季節がやってきましたね。世界的な温暖化傾向は留まることなく、終わりが無いようにも見えますが、大丈夫でしょうか。野球選手までもナイターの試合中に熱中症気味になることも多くなり、真夏に外で普通に遊ぶなんてこともなかなか難しくなってきました。この30年でネットや物流関係を中心に便利になりすぎましたし、文明の発展速度が速すぎたんですかね。そんな風にも思ってしまう時は前を見すぎず、ゆっくりした時間を過ごして現実逃避することも大切です。非効率なのが人間なんです。そんな思いで今年も前半戦のデータを整理しましたので、暇つぶしにどうぞご一読を。

 

今回は昨年の記事と同様、シーズン前半戦を簡単に振り返る記事になります。去年と比べると文章を書くことに関して億劫になってしまっているので、変な構成になってしまうかもしれませんが、悪しからず。

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このブログでは、先発のスタートを評価する際に使うオリジナル用語を使って試合展開を細分化しています。表や文章に使われている用語が分からない場合は、こちらをご参照ください。

HQS(High Quality Start):7回以上かつ2自責点以下の試合

MQS(Moderate Quality Start):6回以上かつ3自責点以下の試合のうち、HQSでないもの

wS(winner's Start):5回以上6回未満かつ3自責点以下の試合

yyS(you yattoru Start):5回以上4自責点以上の試合

shS(short Start):5回未満で降板した試合

lostS(lost Start):shSまたはyySした試合の総称

QS%:QS(HQSあるいはMQS)した試合の割合

wS%:QS(HQSあるいはMQS)またはwSした試合の割合

QSX(QS cross):QSしたのに、相手もQSした試合のこと

 

12球団制以降(1958年~)のシーズン平均得点(黄背景はシーズン途中)


シーズン チーム 試合数 平均得点
2024 西武 87 2.241
1962 国鉄 134 2.336
2024 中日 90 2.344
1965 サンケイ 140 2.371
1958 近鉄 130 2.508
1971 阪神 130 2.562
1970 ヤクルト 130 2.585
1966 サンケイ 135 2.696
1959 大洋 130 2.708
2023 中日 143 2.727
1958 大洋 130 2.746
1958 国鉄 130 2.762
2024 広島 84 2.786
1971 大洋 130 2.792
1965 阪神 140 2.807
1965 広島 140 2.814
2021 中日 143 2.832
1965 近鉄 140 2.814
2012 阪神 144 2.854

今年はボールが飛ばない、統一球を超える異常な打低とも騒がれているように、一試合の平均得点で歴代記録上位に入る・・・どころか歴史を塗り替えそうなチームが数球団誕生しそうという、超異例の打低シーズンになっています。確かに大物野手のFA流出を止められず限界まで達した西武や低迷期奪回のための荒療治が記録的な貧打に繋がってしまっている中日は歴史的に見ても特殊な状況にあると言えますが、上位に位置する広島や巨人、阪神、オリックスも合わせると実に半分のチームが前半戦終了時点で平均得点3点を割っているので、今までにあまり前例が無かった12球団全体に波及する打低傾向と見て良いでしょう。

昨年の記事ではデータ解析能力の向上により投手のレベルが上ったことが近年の打低傾向の要因だろうとか書いていましたが、去年と比べても数段投手有利になっている今年はボールなど他の要素の影響がかなり大きくなってきていると見て良いでしょう。SDGのためにボールの包装方法が変わった(⇒参照・試合球は「アルミ箔を剥く」から「袋から出す」に ミズノがNPB球の包装資材を変更へ)というのは既に周知されていたので、そのマイナーチェンジの過程でゲームバランスを崩してしまうような事態が生じているのかもしれません。ただ、バーランダー投手らベテランメジャーリーガーも危惧しているように、現在は人体の限界を多少超えようとも、靭帯再建手術を厭わずに半強制的に投手の球威向上が求められる時代です。それに伴って先発投手が長いイニングを投げにくくなってしまい、140試合を超えるシーズンを成立させられないほどの局面になってきているのであれば、低反発ボールの使用により歴史的な打低傾向になったとしてもNPBとしては一応は静観を決め込んでいる、ということも考えられます。コロナがあったので埋もれていますが、2018-2020年の3年間というのは投手の規定投球回到達者が3年連続で両リーグとも10人を下回るという危機的状況にあったので、この対策として暫定的にそういうボールも使用している可能性もあります。

2011-2012年の統一球時代と違い、試合時間の規定が無いため決着が着くまで中継ぎを繰り出し続けなければならない、という運用面でもキツいシーズンになっていますが、もしそういう事情があるのであれば、今まで踏み切らなかったタイブレークの導入をNPBが考え始めたのにも多少は納得がいきます。真相はまだ分かりませんが、高校野球も低反発バットに変わりましたし、野球人口が確実に減り続ける近い未来へ向けて日本の野球自体が変わり始めているのかもしれません

 

余計な憶測はここまでにして、色々な面で歴史的なシーズンになりそうな2024年前半戦の色々なデータを見ていきましょう。

平均得点の極端に低いチームがあり、相手打線から得点されにくい状況にあるため、今年はかなりQS率を伸ばしやすい環境にあります。広島・床田投手やDeNA・東投手は打低とはいっても前半戦16先発でQS率100%というのは素晴らしすぎですね。とはいえ、チームQS率60%を超えるのは3チームで、長いイニングを食える先発陣を揃えることは依然として困難であり、それだけで相当なアドバンテージになると言えます。小久保監督の一年目として迎えたソフトバンクは不動のセットアッパーだったモイネロ投手と2年目の大津亮介投手の先発転向と24歳になったスチュワート投手らの活躍で先発陣の大幅強化に成功しており、前半戦の首位独走の原動力となりました。

イニングを食いやすく降板のタイミングを掴みやすい影響か、セ・リーグを中心に登板間隔を詰めて投げさせているチームが多くなっています。吉井監督一年目の昨年は登板間隔を空ける起用が目立っていたパ・リーグ2位・ロッテも小島・種市・メルセデスの表三枚を中心に『中6日』基軸に戻しており、短期決戦も見据えた日本一を狙いにいく戦い方になっていると言えます。まずは2位堅持を狙う後半戦のキーマンとなる佐々木朗希投手は、この日程を崩さずに結果を残すことが求められます。

ロッテとは対照的に、エースの山本由伸がドジャースへ、山﨑福也投手が日本ハムへ移籍したオリックスは他球団に比べてローテの年齢が若く、登板間隔を空けるしかない起用になっており、歴史的打低も相まって勝利を積極的に狙いにいくようなシーズンは送れていません。山本由伸投手も含め、もともと育成をしながらの三連覇という感じでしたが、宇田川投手や山﨑颯一郎投手が離脱しているリリーフも含めてその影響が出てきた一休みのシーズンの感も出てきました。

被QS率のデータも用意してみました。去年は中日のみが被QS率60%超えだったのに対し、今年は4チームが60%超え。平均値も58%とかなり高めです。その中でも特に際立つのが記録的な得点力の低さでパ・リーグ最下位を走る西武の70%超えの被QS率で、他球団も打力不足に苦しむ中で前ソフトバンク・野村大樹選手らシーズン途中のトレード戦力に頼らざるを得ない苦しい台所事情が顕著に現れています。渡辺久信GMが責任を取って監督代行となりましたが、まずは熱中症の危険性も高い厳しい夏場を無病息災に乗り切って今年のシーズンを終えるというところが大事になってくるでしょう。

 

昨年の記事と同様、もっと詳細なデータを表にまとめました。見ていきましょう。

2024年前半戦セ・リーグ 先発登板間隔ごとの勝敗・得失点データ

セ・リーグ 登板間隔 中6日以下 登板間隔 中7日以上 初登板 全体
  試合 % ~中5日 勝率 貯金 QS% wS% 得点/G 失点/G 試合 % 中7-9日 勝率 貯金 QS% wS% 得点/G 失点/G 試合 % 勝率 貯金 QS% wS% 得点/G 失点/G 残試合 勝率 貯金
巨人 63 71 1 32 26 5 .552 +6 68 87 3.06 2.38 15 17 2 9 6 0 .600 +3 27 60 2.80 3.27 11 12 5 6 0 .455 -1 55 73 2.36 2.64 54 .548 +8
広島 54 64 1 31 22 1 .585 +9 83 87 2.81 2.19 22 26 12 8 11 3 .421 -3 59 86 2.45 2.68 8 10 4 4 0 .500 ±0 38 75 3.50 3.50 59 .538 +6
DeNA 56 64 2 27 28 1 .491 -1 61 86 3.25 3.39 20 23 6 11 9 0 .550 +2 60 80 3.80 3.00 12 14 7 5 0 .583 +2 42 67 4.17 4.25 55 .517 +3
阪神 63 70 0 34 25 4 .576 +9 73 79 2.97 2.60 18 20 8 6 11 1 .353 -5 83 89 3.00 2.89 9 10 3 6 0 .333 -3 22 67 2.33 3.11 53 .506 +1
中日 47 52 4 21 24 2 .467 -3 68 83 2.06 2.91 33 37 16 13 18 2 .419 -5 48 64 2.64 3.73 10 11 4 4 2 .500 ±0 50 80 2.70 2.40 53 .452 -8
ヤクルト 31 36 0 13 16 2 .448 -3 42 71 3.90 4.06 44 51 19 16 27 1 .372 -11 43 61 3.07 3.48 12 14 7 4 1 .636 +3 58 83 4.25 3.00 56 .434 -11

 

2024年前半戦パ・リーグ 先発登板間隔ごとの勝敗・得失点データ

パ・リーグ 登板間隔 中6日以下 登板間隔 中7日以上 初登板 全体
  試合 % ~中5日 勝率 貯金 QS% wS% 得点/G 失点/G 試合 % 中7-9日 勝率 貯金 QS% wS% 得点/G 失点/G 試合 % 勝率 貯金 QS% wS% 得点/G 失点/G 残試合 勝率 貯金
ソフトバンク 43 49 1 27 14 2 .659 +13 74 84 4.23 2.35 35 40 12 21 13 1 .618 +8 63 77 3.89 3.03 9 10 7 2 0 .778 +5 56 78 4.56 2.11 56 .655 +26
ロッテ 42 48 1 23 15 4 .605 +8 71 81 3.21 3.21 32 36 21 13 17 2 .433 -4 47 66 4.13 4.16 14 16 8 6 0 .571 +2 29 64 3.71 3.64 55 .537 +6
日本ハム 41 47 1 21 18 2 .538 +3 63 76 3.63 3.83 34 39 21 18 14 2 .563 +4 47 82 4.06 3.18 12 14 4 7 1 .364 -3 33 50 2.33 3.08 56 .524 +4
楽天 50 58 0 23 26 1 .469 -3 52 76 3.16 4.12 26 30 8 15 11 0 .577 +4 50 62 4.42 3.96 10 12 5 4 1 .556 +1 50 70 3.30 3.10 57 .512 +2
オリックス 20 23 1 8 12 0 .400 -4 55 65 2.50 2.95 55 63 29 28 25 2 .528 +3 51 76 3.31 3.07 12 14 4 8 0 .333 -4 25 58 2.08 3.58 56 .471 -5
西武 39 45 0 12 27 0 .308 -15 64 77 2.41 3.62 36 41 24 11 24 1 .314 -13 58 78 2.06 3.28 12 14 4 8 0 .333 -4 25 67 2.25 3.33 56 .314 -32

 

基本的に登板間隔『中6日以下』で投げる先発投手は規定に乗るようなローテの核レベルの投手であると考えて良いので、この試合の割合の高いチームは安定した先発陣を整えられていると見て良いでしょう。ほぼ"団子"状態で前半戦を終えたセ・リーグ上位4チームは先発が揃っており、後半戦も激しい順位争いが展開されそうです。巨人と広島はローテを詰められる4本柱と安定した救援陣を揃えているので、自力があります。新加入のケイ投手、ジャクソン投手の活躍もあり、今永・バウアー両投手の放出の影響を感じさせないDeNAも大健闘を見せていますが、一位を取るには救援陣が鍵になりそうです。阪神は打線の主力4人の絶不調もあり4位に留まっていますが、才木投手を筆頭に投手力は健在です。出場を続けているスタメン選手の復調に頼ることにはなりますが、打点を稼げる大山選手、佐藤輝明選手、森下選手が復調を見せれば、悪い流れを断ち切るきっかけになるかもしれません(去年も似たようなこと書いた)。

例年通り、パ・リーグの方が登板間隔を空けた起用が多くなっています。開幕前は則本投手の抑え転向などで先発力の大幅ダウンも危惧された楽天ですが、キャリアハイペースの早川投手を中心に、転向した内投手や藤井投手も5回まで試合を作れることを示すwS%では高い数値をマークしており、登板間隔を詰められるローテの駒は揃っています。今江新監督の下、初の優勝を果たした交流戦以降はリーグトップタイの貯金10を稼いでおり、潜在的な打力の高さと救援陣の力があれば、この好調を後半戦も続けていくことも期待できそうです。一方、移転2年目を迎えて大型補強を行った日本ハムは先発は揃っていますが、Aクラスを確実に維持するためにはもう一つ足りないという印象です。金村投手やバーヘイゲン投手にもローテとしての計算が立ってきた中、勝ち継投をどう組み替えるかがポイントになるでしょうか。

 

2024年前半戦セ・リーグ 先発投手のパフォーマンスによる勝敗・得失点データ

セ・リーグ QS
(6イニング以上3自責点以下)
wS
(5イニング台3自責点以下)
lostS
(QS、wSでないスタート)
全体
  試合 % HQS 勝率 貯金 得点/G 失点/G QSX 貯金 試合 % 勝率 貯金 得点/G 失点/G 試合 % yyS 勝率 貯金 得点/G 失点/G 残試合 勝率 貯金
巨人 53 60 30 33 17 3 .660 +16 3.13 1.87 36 +3 19 21 7 10 2 .412 -3 2.32 2.63 17 19 3 6 11 0 .353 -5 3.00 4.65 54 .548 +8
広島 61 73 33 35 24 2 .593 +11 2.57 1.79 41 -1 11 13 5 4 2 .556 +1 3.09 2.18 12 14 3 3 9 0 .250 -6 3.58 6.00 59 .538 +6
DeNA 51 58 23 33 18 0 .647 +15 3.55 1.92 26 +4 21 24 7 13 1 .350 -6 3.14 4.52 16 18 0 5 11 0 .313 -6 3.81 6.75 55 .517 +3
阪神 63 70 36 37 22 4 .627 +15 3.05 1.86 38 -1 9 10 5 3 1 .625 +2 2.11 2.56 18 20 5 1 17 0 .056 -16 2.83 5.78 53 .506 +1
中日 53 59 25 28 20 5 .583 +8 2.00 1.77 43 ±0 15 17 8 7 0 .533 +1 2.60 2.33 22 24 5 2 19 1 .095 -17 3.00 7.05 53 .452 -8
ヤクルト 39 45 13 21 16 2 .568 +5 3.41 2.41 25 -3 20 23 10 8 2 .556 +2 4.00 3.10 28 32 7 5 23 0 .179 -18 3.36 5.68 56 .434 -11

 

2024年前半戦パ・リーグ 先発投手のパフォーマンスによる勝敗・得失点データ

パ・リーグ QS
(6イニング以上3自責点以下)
wS
(5イニング台3自責点以下)
lostS
(QS、wSでないスタート)
全体
  試合 % HQS 勝率 貯金 得点/G 失点/G QSX 貯金 試合 % 勝率 貯金 得点/G 失点/G 試合 % yyS 勝率 貯金 得点/G 失点/G 残試合 勝率 貯金
ソフトバンク 59 68 34 42 15 2 .737 +27 4.02 1.95 33 +9 11 13 8 3 0 .727 +5 4.91 2.55 17 20 7 5 11 1 .313 -6 4.00 4.88 56 .655 +26
ロッテ 49 56 26 29 15 5 .659 +14 3.49 2.18 28 +2 15 17 10 5 0 .667 +5 4.33 3.40 24 27 10 5 18 1 .217 -13 3.46 6.71 55 .537 +6
日本ハム 46 53 25 29 14 3 .674 +15 3.70 2.17 30 +6 19 22 8 9 2 .471 -1 3.95 3.89 22 25 8 6 16 0 .273 -10 3.18 5.82 56 .524 +4
楽天 44 51 16 28 15 1 .651 +13 4.36 2.61 24 -3 17 20 13 4 0 .765 +9 3.53 2.53 25 29 15 2 22 1 .083 -20 2.16 7.28 57 .512 +2
オリックス 42 48 20 23 18 1 .561 +5 2.57 2.00 25 -4 20 23 13 6 1 .684 +7 3.85 2.45 25 29 8 4 21 0 .160 -17 2.88 5.52 56 .471 -5
西武 49 56 36 21 27 1 .438 -6 2.55 2.31 37 -12 17 20 6 11 0 .353 -5 2.00 3.18 21 24 11 0 21 0 .000 -21 1.71 6.29 56 .314 -32

 

QS率では打低環境の中、50%を超えるチームが目立ちます。そんな中、最下位からの連覇を経験したヤクルトと三連覇のオリックスはQS試合数の少なさが下位低迷に直結しています。ヤクルトに関しては先発の登板間隔を大きく空けて連覇したシーズンとQS率自体は変わっていないので、異常な打低環境で自慢の得点力を発揮できる試合が少ないのがネックになっていると言えるでしょう。今年は打線の援護力というのがそれほどプラスにならないシーズンなので、QS率の低いチームが上位にいける状況ではありません。ただそれ以前に、小川投手や塩見選手を始めとして怪我人、状態の悪い選手が多くて試合を回すことで精一杯なのかもしれません。オリックスも昨年の勝ち継投がまとめて離脱している上、宮城投手にも疲れが出てきているので、連続優勝というのは相当に応えるのでしょう。

基本的にQS試合を勝ち継投と合わせて失点少なくできるチームは貯金を計算しやすく、優勝を狙えるチームだと言えます。ソフトバンクは近年の反省点を解決したことで、既にQS試合の貯金は昨年の倍近くに達しました。平均得点が12球団で3番目に低い広島も非常に高いQS率と硬い救援陣を武器にQS試合を貯金源にしており、優勝圏内を維持できています。上位球団よりも資金力に劣る中、走塁と守備力を基軸としたチーム全体の力で厳しいペナントレースを勝ち取ることができれば、新井監督も名将として語り継がれることになるかもしれません。

一方、50年ぶりに400得点を下回った昨年をも下回りそうな中日は、その極端な得点力の低さからQS率と平均失点の割には貯金を稼げていません。カープに対してはQS貯金9を稼いでいるように、相手打線が一定以上になると攻守の分が必要以上に悪くなるきらいがあります。広いドーム球場を本拠地とするチームとして厳しい状況にはありますが、昨年終盤のように若く元気のある長距離砲候補が打線に並ぶところが見られれば、この苦境を打開することもできるかもしれません

 

2024年前半戦セ・リーグ 相手先発のパフォーマンスによる勝敗・得失点データ

セ・リーグ 被QS(相手先発が6イニング以上3自責点以下)
*QSXはこちら側もQSした試合
被wS
(相手先発が5イニング台3自責点以下)
被lostS
(相手先発がQS、wSでないスタート)
全体
  試合 % 被HQS 勝率 貯金 得点/G 失点/G QSX 貯金 試合 % 勝率 貯金 得点/G 失点/G 試合 % 被yyS 勝率 貯金 得点/G 失点/G 残試合 勝率 貯金
巨人 52 58 21 22 26 4 .458 -4 1.79 2.31 36 +3 18 20 7 10 1 .412 -3 2.89 2.94 19 21 5 17 2 0 .895 +15 6.11 2.89 54 .548 +8
広島 53 63 33 22 29 2 .431 -7 1.75 2.23 41 -1 12 14 6 4 2 .600 +2 2.33 2.42 19 23 4 15 4 0 .789 +11 5.95 3.05 59 .538 +6
DeNA 42 48 20 17 24 1 .415 -7 2.12 3.40 26 +4 18 20 7 11 0 .389 -4 3.22 3.17 28 32 6 21 7 0 .750 +14 5.75 3.61 55 .517 +3
阪神 51 57 27 19 29 3 .396 -10 1.82 2.39 38 -1 21 23 11 8 2 .579 +3 2.86 3.10 18 20 4 13 5 0 .722 +8 6.06 3.17 53 .506 +1
中日 64 71 37 22 37 5 .373 -15 1.73 3.08 43 ±0 14 16 7 6 1 .538 +1 3.14 3.50 12 13 1 9 3 0 .750 +6 4.67 3.17 53 .452 -8
ヤクルト 47 54 16 13 31 3 .295 -18 2.36 3.47 25 -3 21 24 8 13 0 .381 -5 3.76 4.10 19 22 6 15 3 1 .833 +12 6.16 3.47 56 .434 -11

 

2024年前半戦パ・リーグ 相手先発のパフォーマンスによる勝敗・得失点データ

パ・リーグ 被QS(相手先発が6イニング以上3自責点以下)
*QSXはこちら側もQSした試合
被wS
(相手先発が5イニング台3自責点以下)
被lostS
(相手先発がQS、wSでないスタート)
全体
  試合 % 被HQS 勝率 貯金 得点/G 失点/G QSX 貯金 試合 % 勝率 貯金 得点/G 失点/G 試合 % 被yyS 勝率 貯金 得点/G 失点/G 残試合 勝率 貯金
ソフトバンク 41 47 22 21 20 0 .512 +1 2.34 2.80 33 +9 16 18 7 7 2 .500 ±0 3.63 2.81 30 34 12 27 2 1 .931 +25 6.83 2.20 56 .655 +26
ロッテ 45 51 24 16 26 3 .381 -10 2.00 3.87 28 +2 17 19 9 6 2 .600 +3 3.82 3.71 26 30 10 19 6 1 .760 +13 6.31 3.15 55 .537 +6
日本ハム 55 63 26 22 29 4 .431 -7 2.64 3.53 30 +6 8 9 3 4 1 .429 -1 3.00 3.25 24 28 12 18 6 0 .750 +12 6.08 3.42 56 .524 +4
楽天 46 53 23 16 28 2 .364 -12 2.61 4.57 24 -3 19 22 7 12 0 .368 -5 2.53 4.11 21 24 7 20 1 0 .952 +19 6.57 2.48 57 .512 +2
オリックス 48 55 28 17 30 1 .362 -13 1.92 3.19 25 -4 19 22 7 12 0 .368 -5 2.74 3.26 20 23 9 16 3 1 .842 +13 5.65 2.80 56 .471 -5
西武 65 75 40 14 50 1 .219 -36 1.72 3.52 37 -12 11 13 4 7 0 .364 -3 1.82 3.09 11 13 6 9 2 0 .818 +7 5.73 3.27 56 .314 -32

 

被QS率を見ると、やはり被QS試合での借金を最小限にできるチームが上位に来ています。昨年の近藤選手に続き、山川選手を西武から獲得した上、柳町選手や正木選手、ルーキーの廣瀬選手ら若い打者も結果を出しているソフトバンクは唯一の貯金と流石に余裕があります。また、阿部新監督に代わったセ・リーグ首位の巨人は守りの野球で昨年までの課題を着々と消化しており、安定感が出てきました。オドーア選手の帰国という誤算があったにも関わらず、途中加入のヘルナンデス選手の補強で外野の一角が埋まりましたし、コロナ禍以降の巨人の外国人発掘力は素晴らしいものがありますね。坂本選手ら内野の穴を埋めるモンテス選手にも期待ができそうです。

QSがバッティングしたエース対決であるQSXで貯金を稼げているチームは勝てるエース投手を一定数揃えています。ソフトバンクが盤石ですが、CSを狙うDeNAや日本ハムは他球団より打力で上回るアドバンテージを有効活用し、相手先発との組み合わせを熟考することが日本一への課題になります。

もう一つ注目したいのは被wS(相手先発が5イニング台3自責点以下)の試合の貯金(借金)で、ここを取れているチームは途中から救援投手への継投となった短期決戦に近い試合展開に強いと言えます。先発の組み合わせにもよるのでこのデータだけでは足りないかもしれませんが、この試合を6割取れている広島やロッテ、6割近くの阪神(中日も?)は、CS圏内に入ってくると他の上位チームにとって脅威になるのではないでしょうか。その中でもソト選手の補強がバッチリはまっており、リーグOPS2位に君臨する岡選手や強打の正捕手・佐藤都志也選手、大きな故障から復帰を果たした髙部選手が結果を出しているロッテは面白い存在になるでしょう。セ・リーグは優勝争い、パ・リーグはCS争い(勿論優勝争いも)に注目です。

 

簡単にまとめましたが、これで終わりです。表をHTML版にしただけで満足してしまったので、少し適当な構成になってしまいました。球団のカラーを設定すると表が綺麗ですね。ヤクルトだけは村上選手の画像から取ってきたので、ちょっと変な色になっているかも。

去年のQS関連の表もHTML版にしてあるので、良かったら見てください。

今年のオールスターは前半戦の打低具合が嘘かのように飛びまくりましたが、後半戦への影響やいかに。

 

www.baseball-jumble.com

 

 

参考サイト

- nf3 - Baseball Data House Phase1.0

日本プロ野球記録

プロ野球 - スポーツナビ

NPB.jp 日本野球機構